東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
近隣区域としての広域
自治体間の水平的協調は、通常は近隣の市区町村の間で進められる。市区町村はそれぞれ区域を持ち、そうした複数の近隣の市区町村が協調すれば、その区域は個々の市区町村より連続的に広いものとなる。個々の市区町村の区域を包括して広い区域を、しばしば「広域」と呼称してきた(図1)。都道府県が広域自治体と呼ばれるのは、まさに、個々の市区町村の区域を包括した広い区域が、都道府県の区域だからである。
もっとも、世間的に「広域」と呼ばれるのは、市区町村の区域より広く、都道府県の区域より狭い、中間のレベルの区域のことが多い。「広域圏」や「圏域」と呼ぶこともできるし、「○○地域」や「○○地方」でもよい。もっとも、「地域」や「地方」は、自治体一般に使われることもあるから、特定の広さを示す地理的名称が付かなければ、「広域」を表すようには見えないだろう。さらに、「地域」は単なる空間区分ではなく、区域と人間の複合体を意味していることもある(連載第22回「区域性(その2)」2022年1月28日号)。また、「地方」は、都道府県より広い区域を示すことがあるので、ここでの広域とは異なることもある。
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