東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
協調関係と統制関係
政府Aと政府Bの方針が一致している場合に、AとBとが協調関係にある、とは一概にはいえない。Aの方針にBが服従している場合もあり得るからである。このようなときは、AとBとは、AによるBに対する統制関係にあるといえる。協調関係とは、Aに対してBが服従するのではなく、あるいは、その逆でもなく、AとBとが対等であるにもかかわらず、方針が一致している状態である。対立(紛争)関係とは、AとBの方針が一致しない状態である。一致しない状態が継続できることは、AがBを統制しておらず、かつ、BがAを統制していない状態を表す。
方針の一致という外面の現象からだけでは、両者の関係は、統制なのか協調なのか、必ずしも判然としない。第1に、両者に特段の関係がなくとも、たまたま選好や指向が一致しているだけかもしれない。この場合には無関係である。あるいは、第2に、両者の間で相互参照関係や競争関係が存在し、その結果として、相互の方針が収斂(しゅうれん)したのかもしれない。この場合には相互参照関係や競争関係が存在している。さらにいえば、両者を収斂に向かわせる何らかの構造的な力が作用しているのであろう。第3に、両者が交渉や妥協によって、方針の一致に至ったのかもしれない。通常イメージされる協調関係とは、この状態である。第4に、上記のように、統制による服従の結果として、両者の方針が一致しているのかもしれない。
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