慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
議会における主役は議員であるが、議員は多様な出自・経歴等をもち、当選回数・議員の経験年数も様々である。議員だからといって、即、議会運営や自治・行政の専門家というわけではなく、それらに通じるにはそれなりの知識経験が必要であり、議員による議会の運営・活動については、それを裏で支える事務方の存在が必要不可欠となる。それが、書記長・書記等による補佐体制も含む「議会事務局」であることはいうまでもない(1)。
自治体議会における事務局の重要性を強調するのは容易だが、どうも何か論じにくいところがある。
一つは、その実態が外からはなかなか見えにくい面があることだ。議会事務局が実際にどのような役割を果たしているかは、自治体議会によっても、あるいは職員によっても異なるのが実際のようだ。
もう一つは、その課題として、限られた職員数など事務局体制が十分ではないことや、その人事のあり方などがしばしば語られるが、現実問題としてそれを変えるのは容易なことではなく、改革の必要をいくら論じたところで関係者にはあまり響かないことが想像されることだ。しかも、問題は既に論じ尽くされている感もあり、何か目新しいことを論じる余地もあまりなさそうだ。
そのような中で、せめて自治体議会の現場で奮闘されている職員の方々にエールでも送りたいところだが、どうも薄っぺらなものと受け取られるのがせいぜいとなりかねない。
(1) 任意設置とされている市町村議会でもほとんどの議会が事務局を設置しており、市議会ではすべて事務局が設置されているといわれ、また、町村議会についても、全国町村議会議長会「第67回町村議会実態調査結果(令和3年7月1日現在)」(以下「67回町村議会実態調査」という)によれば、事務局を設置している町村は920町村(99.4%)、未設置は6町村(0.6%)となっている。
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