議会事務局実務研究会 野村憲一
未来の「あるべき姿」を語る議会
最終回となる今回は、執行機関に対する議会のもう一つの大きな役割、政策形成の話です。
前回テーマとした行政監視は、長による行政執行が適正かつ効率的に行われているかを議会がチェックするものでした。ここでの議会の基本的な視点は、過去の政策決定を基準とした現在の状況の評価ということになります。これに対して、政策形成とは、現在の状況を基準として、未来の「あるべき姿」を描き、そこに近づくための方策を示そうとするものです。
行政監視と政策形成の「輪廻（りんね）」
また、行政監視と政策形成は別個のものではなく、お互いをベースとして循環する関係にあります。
例えば、決算審査です。議会における決算審査は、監査委員の審査を踏まえ、議決した予算の目的に従って執行されているか、その効果はどうであったかに着眼して行われます。行政監視の一場面というわけです。
ただ、これで終わってしまっては、「うまくいった」「いかなかった」だけの話になってしまいます。所期の目論見（もくろみ）どおりであった点、そうでなかった点のいずれも、「これからどうするか」つまり次年度以降の予算編成につなげて初めて、決算審査は意義あるものとなるでしょう。
飯田市議会では、常任委員会が主体となって議会による行政評価を行い、その結果を全議員で共有した上で決算審査に臨む取組みを行っています。行政評価に基づく提言は決算認定の付帯意見として市長に提出され、次年度の予算審査では提言の反映状況を議会がチェックしていきます。この一連のフローは、行政監視と政策形成が循環して進められる典型例といえます。
行政監視における現状の評価に基づいて、よりよい未来に向けた次の政策を提言する。こうした活動を通して政策は「輪廻」を繰り返し、完成度を上げていくことが望まれるのであり、議会はその重要な役割を担うのです。
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