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2018.08.27 議会運営

第3回 議会改革、そして耐震工事を経て、リニューアル!真に市民に開かれた議会をめざす議場【東京都東村山市議会】

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自治体議会の「顔」ともいえる「議場」。そこには、自治体の歴史や理念が反映されています。『議員NAVI』では全国の自治体の議場を訪問し、自治体議会の「顔」をビジュアルにお伝えします。

第3回は東京にありながら、里山の自然に恵まれた住宅都市・東村山市議会の議場を訪問しました。

議場全景

議場全景

東村山市のキャラクター「ひがっしー」がいつも議長席の横に座っている

伊藤真一議長。議長席の横には東村山市のキャラクター「ひがっしー」が。

 
 タイル貼りの重厚感のある議場の壁

タイル貼りの重厚感のある議場の壁

 耐震工事で天井を入れ替えた

耐震工事で天井を入れ替えた

傍聴席の車いすスペース

傍聴席の車いすスペース


傍聴席にはイヤホンジャックが設置されており(4か所)、ヘッドフォンの貸し出しも実施している

傍聴席にはイヤホンジャックが設置されており(4か所)、ヘッドフォンの貸し出しも実施している

 傍聴者には、議員がもっている議案関係資料と同じものが一式が貸し出される

傍聴者には、議員がもっている議案関係資料と同じものが一式が貸し出される

カメラの切り替えや発言時間の表示などを操作するモニター

カメラの切り替えや発言時間の表示などを操作するモニター

 風格のある木製の小箱は現在も現役で投票に使用されている

風格のある木製の小箱は現在も現役で投票に使用されている

 

―議場の特徴を教えてください。
 議場は執行部と議員の対面式です。議場の形は、議場としてオーソドックスな扇形です。議場の使用方法として特徴的と思われることは、議員の一般質問や質疑を一問目から自席において行うことです。その理由としては、演壇が議員側を向いて設置されていることから、このような扱いとしています。なお、市長の所信表明や常任委員会の委員長報告などは演壇にて行います。

―白いタイル張りが印象的な議場ですね。
 現在の東村山市の庁舎・議場は昭和47年に建設されて以後46年間使用してきた歴史のある建築です。旧耐震基準に基づいたものであったことから平成28年から2年間をかけて庁舎全体の耐震工事を実施しました。その際に議場のリニューアルも併せて実施しました。固定椅子であった各議員の座席は、傷みが激しかったため取替を検討しましたが、かなりの高額になることが判明。それまで委員会室で使用していた可動式の椅子を運び入れ、委員会室の椅子はより廉価なものに入れ替えました。東日本大震災の時には吊り天井が外れかかったり、壁のタイルに亀裂が入りました。その後の耐震化工事で天井は新調しましたが、タイルは高額なオリジナル品ではなく色調の近い既製品で代替したので、タイル画のような模様が浮かび上がりました。

―議席の席順はどのように決められていますか。
 基本的には会派ごとに座っています。議長が会派ごとの議席の範囲の素案を作成し、会派代表者会議にて協議します。会派内で誰がどこに座るかというのは、各自で決めることとしています。2年ごとの議会人事のサイクルと併せて、席順の見直しをしています。

―表決の方法はどのようにとっていますか?
 東村山市議会では賛否を問う際には、必ず起立採決です。以前は挙手によって採決をとっていましたが、会議の動画中継を導入してから、見た目に分かりやすいという理由もあり、起立採決をするようになりました。

―傍聴席との距離はどうですか?
 議員席(庁舎5階)よりも高い位置に傍聴席(庁舎5.5階に相当)があります。この高低差から、やや距離感を感じる方もいるかとは思います。ただ、議場からは、傍聴者の話す声や息遣いは感じられ、そこまで隔てられているというわけではないように考えております。

―住民が傍聴しやすい工夫は何かされていますか?
 当議会では、平成25年に議会基本条例を制定しました(※平成26年施行)。この議会基本条例の検討過程の中で、いかにして「住民に開かれた議会」をつくるかということで、議会全体で「傍聴」についてもかなり議論を行いました。傍聴規則の改正にも踏み込み、それまで原則禁止としていた事柄の多くを原則自由という方向にしようということで話し合いました。
 この時改善した点としては、例えば、傍聴の際の記名を不要としたことなどが挙げられます。この傍聴者記名不要の取り扱いは傍聴のハードルを下げることを目的として導入したものですが、議論当初は議会内でも様々な意見がありました。しかし裁判所でも記名不要としている事例もあげ、実施に踏み切りました。その後、特に運用上問題も起きていません。

―議会の中継は行っていますか?
 はい、平成22年12月議会から本会議の録画配信、25年9月からは委員会のライブ中継を別々の方法で行ってきましたが、27年9月定例会の初日からは、システムの入替えに合わせて、すべての本会議及び委員会のライブ中継・録画配信を同じ方式で行うようにしました。本会議場では1人1本の自席マイクがあり、そのスイッチを押すと自動的にカメラが向くような仕組みになっています。なお、録画は会議終了後7日程度で配信しています。

―バリアフリーの配慮はされていますか?
 車椅子の方への対応ですが、10年ほど前に傍聴席にスペースを設けました。しかし、建物の構造上から階段を使わないと入れないので、人の力でその都度運び上げていました。そこで、議会基本条例制定の際の例規見直しの一環として、「傍聴人は議場に入ることができない」とされていた傍聴規則第5条に「ただし、議長が認める場合は、この限りない」という一文を加え、車椅子の方も議場フロアの一角に入っていただけるようにしました。
 聴覚障がいの方には、事前に申し出をいただいて手話通訳者をつけられるようにしています。聞こえの悪い方には、お貸しするヘッドフォンを通してクリアに音声を聴いていただける席を4つ設けています。
 また、傍聴される方には議員と全く同じ資料をお貸ししていますが、視覚障がいや読字障がいの方への資料提供は課題だと考えています。
 
―議会以外で議場を使うことはありますか?
 市の周年行事の一環としての「子ども議会」を開催するほかは、あまり活用できていません。毎定例会初日の開会前には「ミニミニコンサート」を東村山市文化協会の協力を得て開催しています。

・東村山市議会基本条例
・東村山市議会傍聴規則

議会名:東京都東村山市議会
定数:25名
議会HP:https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/gikai/index.html

<議場をご紹介ください!>
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『議員NAVI』が取材におうかがいさせていただきます。
下記までご連絡ください。
『議員NAVI』編集部メールアドレス:dh-giin@daiichihoki.co.jp

『議員NAVI』編集部

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