地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2017.12.11 議会改革

第35回 文書質問は閉会中も認められるのか?

LINEで送る

議会事務局実務研究会 吉田利宏

お悩み(「議会は休まない」さん 60代 市議会議員)
 議会活性化委員会の委員をしております。議会では、これまで文書質問が行われていなかったのですが、議会基本条例と会議規則を改正して、これを位置付け、さらなる議会活性化策につなげたいと考えています。年4回の定例会の谷間にも文書で執行部の考えを質(ただ)すことは重要なことです。議会事務局は閉会中には議会活動はできないといいます。しかし、議会は閉会中でもその役割を放棄すべきではありませんし、議会としてではなく個々の議員が執行部に質問することは問題がないと考えていますが、いかがでしょうか。これまでも個々の議員が閉会中に執行部側に事実の問合せをすることがしばしばありました。

回答案
A 議員個人と執行部との問題であり、議会の活動とはみなされず、特段の問題はない。
B 議会の活動能力が会期中に限られるとの地方自治法上の規定はなく、閉会中であっても緊急の事態に係る質問であれば議会の役割として当然認められる。
C 閉会中は議会の活動として文書質問はできない。会期中に行うか、通年の会期に移行して行うべきである。

お悩みへのアプローチ

 あっという間に文書質問の制度が広がっています。これは、議員が執行部側に文書で質問を行うものです。自治体議会では質問といえば「口頭」が原則ですが、この質問はまさに「文書」で行うところがポイントです。質問された執行部側は決められた期間内に調査し、やはり、文書で回答しなければなりません。
 文書質問を定める議会基本条例の規定には、次のようにあえて閉会中にも行える旨を定めているものがあります。

◯××市議会基本条例
 (会期中・閉会中の市長への文書による質問)
第9条 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等執行機関及びその職員に対し文書質問を行い、文書により回答を求めることができる。

 文書質問を行うことは、行政への監視機能の面からは望ましいことです。ただ、問題は「閉会中に行えるか」ということです。「いいことなのだから、そんな些細(ささい)なことは目をつぶれよ!」。文書質問の問題点を指摘する事務局職員に、ときにはこんな趣旨の発言が議員から投げかけられることがあります。しかも、それが改革派とされる議員からの発言であることも多く、事務局としては、それ以上、強くいえず、結局、指摘がうやむやにされる例があるはずです。察するに「議会は休まない」さんの議会でも同じようなやりとりがされたのではないでしょうか。

つづきは、ログイン後に

『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。

議会事務局実務研究会

この記事の著者

議会事務局実務研究会

議会事務局実務研究会 2011年6月、元衆議院法制局参事の吉田利宏氏と町田市議会事務局調査法制係担当係長(当時)の香川純一氏の呼びかけにより発足。自治体議会事務局、国会事務局・法制局、国会図書館の職員及び経験者によって構成された実務家集団。会員が日常抱えている小さな疑問や課題を持ち寄り、それらについてオフサイトミーティング形式で意見交換、情報交換をしながら、実務の視点に立った研究実績を、論考、講演など各種のメディアで展開。全国の議会事務局のアドバイザー的存在として実績を重ねている。

吉田利宏 よしだ・としひろ
「議会事務局実務研究会」呼びかけ人・元衆議院法制局参事
1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局に入局。15年にわたり法律案や修正案の作成に携わる。現在、大学講師などの傍ら法令に関する書籍などの執筆、監修、講演活動を展開。著書『ビジネスマンのための法令体質改善ブック』(第一法規、2008年)、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術〈第2版〉』(ダイヤモンド社、2007年)、『元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方 』(ダイヤモンド社、2014年)、『新法令用語の常識』(日本評論社、2014年)ほか。

米津孝成 よねづ・たかのり
議会事務局実務研究会会員、かながわ政策法務研究会会員、千葉県市川市職員。
主な執筆として「議会中継の著作権とその管理について」(議員NAVI2017年8月10日号)、 「生活保護に係る争訟とその事務の課題等について」(政策法務ファシリテータ Vol.59(2018年))、 「自治体訟務イロハのイ」(2016年?2017年)、「自治体法務の事件簿」(2017年~2018年) (いずれも自治体法務NAVI e-Reiki CLUB)など。

Copyright © DAI-ICHI HOKI co.ltd. All Rights Reserved.

印刷する

今日は何の日?

2024年 513

日本初のPFI方式による刑務所・美祢社会復帰促進センターが開所(平成19年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る