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2015.12.25 議会改革

マニフェスト大賞こそ地方創生~10年のあゆみとこれから~

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ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟/マニフェスト大賞実行委員会事務総長(武蔵野市議会議員) 川名ゆうじ

1 マニフェスト大賞はこうして始まった

アカデミー賞にしたい
 マニフェストとは、「数値目標などで『はっきり示す』公約」を意味している。このマニフェストを地方議員の選挙にも広げる(1)ことで、地盤・看板・カバンが必要といわれる地方議員の旧態依然とした選挙を政策本位で選ぶ選挙に変え、地方から政治改革を進めようと、2005年5月22日にローカル・マニフェスト推進地方議員連盟(以下「LM地議連」という)が結成された。
 マニフェストという言葉は、LM地議連の顧問でもある北川正恭早稲田大学名誉教授(元三重県知事)が提唱し国政選挙でも用いられたことから、2003年の流行語大賞に選ばれるなど世間からの関心は高く、LM地議連の発会式には約500名が参加するなど地方議員からの関心も高かった。
 そのLM地議連をどのように運営していくかを協議する運営委員会の場で、「地方議会・議員を表彰することをしたい。ゆくゆくはアカデミー賞のようになることを目指す『マニフェスト大賞』を実施したい」と伊藤悠さん(当時は都議会議員)から提案があった。そこからマニフェスト大賞はスタートした。
 当時は、マニフェストは注目されてはいたものの、住民の政治不信は強く、特に地方政治がマスコミに登場するのは地方議会や地方議員の不祥事のときばかりで、「地方議会や地方議員は必要ない」など、議会に対する評価はかなり低い状況にあった。「地方議員といえば何をしているか分からない、支援者への利益誘導ばかりをしている」と多くの人が思っていたに違いない。
 そのような状況でマニフェスト大賞をスタートすることは、「ローカル・マニフェストを掲げることや優れた政策を提案し、それらを実現している議会や議員を表彰することで、光を当て、さらに意欲を高め、結果として政治改革を進めよう、表彰により政治改革を目指そう」との目的を持つ提案だったのである。
 また、マニフェスト大賞を受賞した政策を他の自治体でも実施することで、結果として日本全体をよくしようとのねらいもあった。最近では“TPP”(徹底的にパクッってパクる)とも運営委員会では使われるが、よい政治の競争、善政競争を後押しできる賞にすることも目的となっている。そのために、優れた政策を集めた資料集となる冊子を毎年制作している。

本当にできるのか?
 この提案があった運営委員会に私も参加していたので、「本当にできるのか?」の議論があったことをよく覚えている。“表彰することで政治をよくしたい、褒めて育てたい”との思いは理解できるが、その政策が本当に応募した議員のものなのか、誰かのものマネであったり行政がやろうとしていることを質問して自らの手柄にする場合にも表彰できるのか、また本当によい政策か判断できるのか、表彰してしまって大丈夫だろうかなどの疑問が出されていたからだ。
 何よりも、応募する人がどれだけいるのか、不安が多かった。
 このときは、「世間に知られることになれば、偽りの政策では応募できないだろう。議事録や行政に確認すれば、すぐに分かることだ。調べる手間はかかるが、まずはやってみよう」との合意になった。
 ほかにも実行する費用をどうするかの課題も残されていた。全国の地方議会や地方議員への周知・応募・審査さらには表彰式も行うとなれば、それなりの費用が発生する。LM地議連は約500名の会員がいる組織だが、資金が豊富にあるわけではなかった。
 そのため、まずは協賛してくださる事業者を会員の議員自らが探して資金を調達することになった。財源もはっきり示すのがマニフェストだが、マニフェスト大賞の財源探しも行うことになり、結果がどうなるか見えない中でスタートしたのが第1回目のマニフェスト大賞だった。

第1回目のマニフェスト大賞は手探りで始まった第1回目のマニフェスト大賞は手探りで始まった

川名ゆうじ

この記事の著者

川名ゆうじ

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟/マニフェスト大賞実行委員会事務総長(武蔵野市議会議員4期目)。ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の創設メンバーでマニフェスト大賞には第1回目から関わる。

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