今回の目的:実践によって浮上したポイント
本特集では、議選監査委員と議会との協働を実現する上での視点を確認するとともに、その制度と運用を模索している。
第1回(2025年2月10日掲載)において、今なぜ議選監査委員が争点となっているかを踏まえて、議選監査委員と議会との連携による議会力・監査力のアップ(相乗効果)の意義を確認している。第2・3回(2月25日・3月10日掲載)は、議選監査委員の役割を再考するとともに、その相乗効果を模索している自治体の動向について紹介している。第4・5回(3月25日・4月10日掲載)では鼎談(ていだん)を挿入して論点を明確にしている。
今回は、これらの整理であり確認事項として11のポイント(+1)を提示したい。その上で、議会力・監査力アップのための課題を探り、それらの充実のための今後の方向を考えていきたい。
議選監査委員と議会との協働の11のポイント
(1)議選監査委員の位置(議会と異なる監査とは)
監査委員の監査と議会の権限(検閲・検査・調査)とは異なる(監査の行政監査と決算は議会の権限と重なる)。この異同の確認によって(第1回)、連携・協働の方向が確定できる。議選監査委員と識見監査委員の役割分担を意識した連携が求められている。
【ポイント1】監視と監査とは異なる。
【ポイント2】監査委員の監査は、財務監査だけではなく行政監査も可能。
【ポイント3】監査委員の対象と方法の意義を踏まえた連携。
(2)議選監査委員の役割
議選監査委員は、政治的感覚・独任制・パイプ役を担う。この役割によって(識見)監査委員の監査力がアップするとともに、議会力もアップする。なお、この役割は、すぐ後に指摘するポイント6や7の誤解があれば作動できない。まず、これらの誤解を払拭することが不可欠である。
【ポイント4】政治的感覚によって豊富化する監査:用心棒の役割を超える(政治的感覚・独任制・パイプ役を担う議選監査委員によって識見監査委員力がアップする)。
【ポイント5】監査委員との連携により強化される議会の監視力(決算力に活用する:ポイント4だけではなく議会力もアップする)。