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特集 今改めて考える議選監査委員制度

2025.02.25 議会運営

可児市における議選監査委員の役割と監査の改革

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可児市議会議員/ローカルマニフェスト推進連盟共同代表 川上文浩

 

監査委員制度の概要と議選監査委員の役割

 監査委員の役割は「地方公共団体の財務事務の執行や経営に係る事業の管理について監査を行わなければならない」とされているほか、行政事務一般についても監査を行うことができ、監査委員の監査は、これら事務の適法性、能率性の確保を図る観点から行われている。平成29年の地方自治法改正により議会選出の監査委員が選択制となり、自治体ごとの判断が可能となった。これに伴い、議会内で議選監査委員の選出について議論が進められた。その結果、多くの議会で制度維持が決められたが、議選監査委員の選出には賛否両論がある。
 議選監査委員を設置することのメリット・デメリットについては、各地議会や地方制度調査会などで議論されているが、議選監査委員は短期交代(1年)することが多く、監査が形式的になりがちとの批判が多くある。従来、議会三役といわれる議長・副議長・監査委員は名誉職との認識があり、議会内の申合せにより短期で交代する議会は少なくない。監査委員は、正副議長を経験した議員の名誉職的な地位と捉えることが多かったが、本来は議長・副議長を務めた経験を生かし、スキルの高い議員にその役割を果してもらいたいという背景があるのではないか。ややもすると周囲から監査委員は「閑職」という間違った認識を持たれることになる。「監視する」という役割を担う議会と「監査する」という監査委員との連携がなされてこなかったこともその要因の一つだと推察される。
 また、議会も監査の対象となっていることから、監査委員は議会から独立した存在とする必要があるとして、議選監査委員を廃止すべきとする見方もある。議会と首長が対等・独立の関係にある二元代表制下で、議事機関の構成員である議員が、執行機関の特別職である監査委員を兼任する制度自体の是非を論ずる「制度論」と、議選制度が議会の監視機能強化に資する利益を論じる「機能論」の二つに大きく分けられるが、監査委員に守秘義務が課されている現状をどのように捉え活用していくかは、その自治体と議会の考え方や実情に合わせて運用していくべきだ。
 自治体の規模によっても監査体制や監査方針は様々であるが、監査委員と議会との情報共有や意見交換を活性化することは、議会の監視機能を向上させる上で効果的である。識見監査委員は財政的な見地から財務監査を行い、議選監査委員は行政監査の観点から監査を行うという分業をすることで、より充実した監査となるのではないかと私は考えている。統一的なものが必要かどうかは別として、監査機能を充実させ、その結果の公表について市民に分かりやすく、かつ、より行政運営に役立つものとするために、監査の規範となるような「監査委員基本条例」の制定も考えてみる余地はある。

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