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特集 自治会・町内会の活性化のために

2024.01.25 政策研究

地域コミュニティの高齢化と自治会・町内会

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放送大学教授 玉野和志

1 高齢化による自治会・町内会の困難

 自治会・町内会については、これまで何度かその存続が危ぶまれることがあった。しかし2000年代に入って、いよいよその存続が難しくなってきたところがある。その大きな背景の一つが、高齢化である。社会全体が高齢化しているのだから、自治会・町内会の担い手が高齢化するのは避けられない。これまでと同じように活動を続けるのが、困難になっているというのが現状であろう。
 たとえば、高齢になったことや身内の介護があって、輪番で回ってくる役職を免除してほしいと考える人が増えている。免除を願い出たが認められず、やむなく退会したら、ごみ集積所を使うなと言われたり、周囲の街灯を取り外されたという話もある。町会長になると、連合会をはじめとした様々な役職が充て職としてついてきて、毎日のように会合に出なければならない。こんな大変なことを他の人に代わってもらうことなどできないので、自分の代で町内会を解散することにしたという話も聞く。
 高齢化によって担い手が減っているのに、これまでの活動をそのまま維持しようとすれば、無理が来るのは当然である。上のような事例は、高齢化に対して活動のあり方を見直すことが間に合っていないという状況の中で、起こっていることであろう。高齢化が進んでいるにもかかわらず、震災などの災害が頻発することで、自治会・町内会への期待が膨らんでいることも、それらを助長している要因である。

2 とりあえず会費を払ってもらうために

 では、どうすればよいか。対策は明快で、人を増やすか、仕事を減らすかである。人を増やすためには若い世代に理解してもらって参加してもらうしかない。この場合の参加には、とりあえず入会して会費を払ってもらうというレベルと、より積極的に活動を支えてもらうというレベルが区別できるが、とりあえず前者について考えてみよう。
 自治会・町内会にこれといったメリットが見いだせなくても、近所の人が訪ねてきて、直接入ってくれと言われれば、多くの人は入らなくもないだろう。会費もそれほど高くなければ、あえて断る人も多くはないと思われる。加入率が低下している背景には、集合住宅が増えたこともあるが、こうして一軒一軒訪ねるだけの労力を割けなくなったことが大きい。そこで、まずは他の活動はさておき、自治会・町内会の存在を理解してもらうための広報と勧誘、会費の徴収という基本的な活動に、十分に力を割くことが求められる。他は何もしなくてもいいと言っていいぐらいである。自治会・町内会はこういうもので、こんなことをしていて、直接のメリットとまではいかなくても、こんな意義がありますよということを知ってもらうことが基本である。ある世代までは、引っ越せば町内会に入るのが当たり前という観念があったが、若い世代には通用しない。これまであまり力を入れる必要がなかった、広報と勧誘という基本的な活動にもっと力を入れるべきなのである。
 「何かメリットがあるのですか」と言われることに業を煮やしたある団地の自治会長は、近隣の商店街と連携して割引会員になれるとか、行事に参加するときには自治会で保険をかけてあげるとか、そんな努力をしたという話もあるが、そこまでやるのは大変なので、最低限、自治会・町内会にはこんな意義があって、こんなことをやっているという広報と勧誘の活動を、優先すべきである。そんなパンフレットや書類をつくって、班長レベルの人が手分けをして、定期的に非会員の世帯を訪ねることができれば、ずいぶんと状況は改善できるかもしれない。

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