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特集 障壁のない議会を目指して

2022.05.13 医療・福祉

さいたま市重度障害者等の就労支援事業

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さいたま市議会議員 小川寿士

  「就労中も訪問介護を受けられるよう制度を変えてほしい」。そんな重度障害者の訴えを聞いたのは2017年夏。重度障害者は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」といいます)に基づき、市町村が実施する介護サービスを24時間体制で受けられますが、仕事中は「経済活動」と見なされ対象外なのです。私は市議会で国の制度の問題点を指摘し、さいたま市独自の支援事業創設を提案しました。これが、全国自治体で初となる「さいたま市重度障害者等の就労支援事業」の創設につながりました。
 2017年に夏祭り会場で私に声をかけたのは、さいたま市中央区の猪瀬智美さん(当時27歳)です。彼女は全身の筋力が次第に衰える筋ジストロフィー。腕が自力で上げられず、寒いときに上着を羽織ることも、暑いときに水を飲むことも一人ではできません。移動は車いすで、トイレは全介助が必要。障害者総合支援法に基づき最重度の障害者が利用できる24時間体制の「重度訪問介護制度」を利用して自立生活を送っています。猪瀬さんは病院から退院した後、就職をして在宅勤務していますが、国の障害者福祉サービスは仕事中の利用を認めていません。そのため、勤務時間中は介助者がおらず、トイレに行くことができないため、水を飲むことも我慢していました。
 私はこの制度の問題をさらに深く知るために、就職活動をしていた矢口教介さん(当時28歳)を紹介してもらいました。矢口さんも筋ジストロフィーで、24時間人工呼吸器をつけて生活しています。呼吸器の管理やたんの吸引などの介助は必須です。採用に前向きな企業はあっても「仕事を始めると介助が受けられない」と途方に暮れていました。この二人が必要としていたのは、仕事の作業を手伝うということではなく、トイレに行くことや水を飲むといった当たり前の生活の介助だったのです。生活の介助は仕事中であるなしに関係なく必要です。二人との出会いによって私は国の制度の矛盾を強く感じ、2018年2月議会の本会議一般質問において「市の単独事業としての制度創設」を清水勇人市長に訴え始めました。
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左から、猪瀬さん、筆者、矢口さん

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本会議の様子

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