八王子市都市戦略部都市戦略課 辻 誠一郎
ブランドメッセージ「あなたのみちを、あるけるまち。八王子」
突然ですが、次の文章を読んでください。
古くから東西南北への交通の要衝となっており、江戸時代には甲州街道の宿場町として発展した。さらに江戸末期以降は、特産品の絹織物を輸出する際に横浜方面との往来が盛んになった。
中心市街地は市外からも多くの人が訪れる商業集積地であり、その一方で高尾山をはじめとした豊かな自然も八王子の特徴である。
また、全国から10万人の学生が集う学園都市としても知られる。
では、一度目を離して、八王子市に対する印象をお答えください。
「いや、印象っていわれても……」という声が聞こえてきそうです。
これが、ちょっと前までの八王子市でした。
全国に、そして世界に誇れる地域資源は山ほどあるのに、「結局、何がいいの?」と聞かれると、その答えは人によってバラバラ。各所管が発信する内容に統一感がなく、効果的な魅力発信が難しい状況でした。
さらに、目指すまちの姿、すなわち「どんなまちになっていきたいか」という共通のビジョンがなく、各所管、そしてまちに関わる方々が力を合わせて魅力的なまちをつくっていく上での壁となっていました。
1 ブランドメッセージ つくろう・えらぼうプロジェクト
2018年、八王子ならではの魅力を一言で表し、目指すまちの姿を宣言する言葉、「ブランドメッセージ」をつくるためのプロジェクトがスタートしました。
プロジェクト全体の監修は、本特集「シティプロモーション」の第1回(2019年9月10日号)を執筆された東海大学の河井孝仁教授にお願いしました。
公募市民(15人)と公募職員(5人)が四つのチームに分かれ、4回にわたりワークショップや市内ツアーを実施。そこから得られた発見や感動をもとに、「八王子は、どんな人が、どんなふうに幸せになれるまちなのか」を考え、各チーム1案ずつブランドメッセージの「市民案」をつくりました。
この市民案を、ワークショップに毎回参加していた地元出身のコピーライターがブラッシュアップ。メンバーの「熱気」とまちの「空気」を知るプロの力で、多くの市民の共感・納得を得られる候補4案ができ上がりました。
12月には市民総選挙を実施。ウェブ・投票所に加え、市内公立小学校の6年生及び中学校の全生徒による投票も行い、全部で2万5,000もの票が集まりました。