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特集 創生する議会基本条例 ―これからの議会のかたち

2025.11.25 条例

新しい議会基本条例にトライしたらどうでしょうか

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特徴的な条文〈その1〉

 既存の議会基本条例に採用されていない特徴的な条文に言及する(どこかの議会が採用してくれることを願う)。
 議員(国会議員を含む)の議会中の居眠りがマスコミで報道される。そこで、議会基本条例に「居眠りの禁止」(見出し)を用意してもよいのではないか。条文は「第◯条 議員は、議会活動並びに議員活動においては、いかなる理由があっても、居眠りをしてはならない」である。
 居眠りした議員には、罰則を設けてもよいかもしれない。地方自治法14条3項には「普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる」とある。そこで、議会中に居眠りをした議員には5万円の過料を科せば、居眠りを防ぐことができるかもしれない。
 別の条文を紹介する。国は脱炭素社会に向けて、2050年までにCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにすることを目指している。そこで、議会基本条例の見出しに「議会活動の脱炭素化」を用意し、条文に「第◯条 議会は、脱炭素社会の形成の推進を意識した議会活動を推進し、及び実施する責務を有する」と明記してもよいだろう。
 続いて2項に「議会は、議会活動を実施するに当たっては、脱炭素化に配慮するものとする」と記すことも一案である。なお、同条文を用意することは、タブレット導入の法的根拠となる。
 さらに、国はSDGsの推進に取り組んでいる。読者の自治体も、濃淡はあるものの、きっとSDGsに取り組んでいるはずである。議会としても、SDGsは無視できないだろう(読者が議員ならば、SDGsのバッジを着けているのではないか)。そこで、「議会のSDGs推進」という見出しを用意する。条文は「第◯条 議会は、世界的に進められているSDGsの理念に賛同し、SDGsの普及及び啓発を実施するとともに、議会にSDGsを反映させるために必要な活動を実施する」と明記する。
 続いて2項で「議員は、SDGsへの理解を深めるとともに、自らも積極的に取り組む」と書いてもよいだろう。同条文があることが、議員がSDGsバッジを着ける法的根拠になるかもしれない。
 本稿で言及した「居眠りの禁止」、「議会活動の脱炭素化」、「議会のSDGs推進」は、筆者のゼミナールに所属する学生が考えた条文である。学生はユニークである。
 議会基本条例の検討は、往々にして議会内で実施されることが多い。もし、議会基本条例に新しい視点を入れたいのであれば(ひいてはイノベーションを起こしたいのならば)、議会内だけで検討するのではなく、小・中・高校生や大学生からの意見を募集したり、地域住民の意向を反映したり、議会外の多様な主体と連携してもよいだろう。
 筆者のゼミナール生が発案した条文に「議長への手紙」がある。「議長への手紙」は、太子町条例に反映された(7条4項)。既存の議会基本条例には見られない革新的な条文である。
 今日、執行機関は「市長(町長・村長)への手紙」を用意している。首長と議会は二元代表制である。首長への手紙があるならば、議長への手紙があってもよいだろう(という、素朴な学生の疑問があった)。しかし、このような制度はなかった。また、住民から見れば、意見をいえるチャンネルはたくさんあった方がよい。太子町条例という法的根拠として「議長への手紙」を用意した点が画期的である。
 なお、若干アピールになるが、牧瀬ゼミナールは議会と連携し、議会基本条例の制定や議会改革などの後方支援をしている(議会に限らず、執行機関とも連携している)。今年度は、本特集で取り上げた太子町議会と連携している。また、議会報告会に関しては、藤沢市議会と協働している。昨年度は福島県南会津町議会と連携した。
 執行機関では、今年度は、ひたちなか市、焼津市、北上市などとも連携している。牧瀬ゼミナールは、議会や執行機関との連携を歓迎しているので、関心があれば連絡をいただきたい。

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