関東学院大学法学部地域創生学科教授 牧瀬 稔
議会運営や議会改革を進める法的根拠として、あるいは、議会がより住民に近づいていく活動を促進するために、議会基本条例は標準装備となりつつある。今日、多くの議会が議会基本条例を制定していることは評価できる。しかし、その議会基本条例の多くが「紋切型」となっている。
全国には1,741の市区町村議会がある。都道府県議会は47である。1,788議会の形があるはずである。それぞれ違ってもよい。ところが、議会基本条例に限っていうと、多くの条例が同じパターンであり、独創性や新しさがない(1)。もちろん「議会基本条例にユニークさは求めない」という意見もあるだろう。
しかし、筆者は、同じような議会基本条例に違和感を持っている。もっと特徴的な議会基本条例が登場してもよいだろう。
そのような中、兵庫県太子町議会が制定した「和のまちをつくる太子町議会基本条例」(以下では、原則として「太子町条例」とする)は、今までに見られない議会基本条例の新しい形である。
太子町条例は賛否両論ある。筆者は「賛成」の立場をとっているが、否定的な見解もあるだろう。制定しても、全く取り上げられない議会基本条例よりは(あるかないか分からない議会基本条例よりは)、議論を巻き起こす方がよいと考える。議論が巻き起こるということは、存在が認知・認識されていることを意味する(現在、太子町議会への視察が増えているそうだ)。
本特集は、「和のまちをつくる太子町議会基本条例」をベースとして、これからの議会基本条例の新しい形を検討してきた。本特集は、今回が最終回である。今までの流れを確認しつつ、これから議会基本条例を検討する際のポイントを言及したい。
