2025.11.25 政策研究
第28回 「地方創生」の現状と課題
地方創生に求められる地域資源の活用による価値創造
地方創生が政策である以上、地方創生の実践には、政策資源としての地域資源(人(スペシャリスト・ジェネラリスト・定員)、予算、土地、施設、権限、仕組み、雰囲気、時間、観光地、名産品、ブランド等)が必要になります。この地域資源は、どこの地域でも共通して必要な資源(例えば、人(スペシャリスト・ジェネラリスト・定員)、予算、土地、施設、権限、仕組み、雰囲気、時間)と、地域で異なる資源(例えば、観光地、名産品、ブランド等)に大別できます。
このような地域資源を活用することにより、自治体・地域に必要な価値を私たちは創造するのですが、どのような価値を創造するかは、当該自治体における多様な人・団体・機関による話し合いが必要になってきます。例えば、〈子育てや介護を含めた“生きがいのあるライフステージ”〉や〈デジタル活用によるDX推進等で豊かな生活のある社会〉等、どのような価値を創造するかということを、皆で話し合うことが求められます。
なお、地方創生については、最終的に自治体政府(議会・行政)の判断が要となります。その意味でも、自治体議会は重要な働きをすることになります。
地方創生政策の今後の展望──地方創生に求められる「守り」と「攻め」の視点
渡部がいうように、地方創生政策は、国が司令塔となり、実行部隊である自治体に地方版総合戦略の策定を義務付け、KPIを設定し、数値化により成果を検証することを必須とするものです。その検証は重要ですが、個々の成功事例や数値目標の達成にばかり目を向けると、地域における現実が見えなくなります。仮に、まち・ひと・しごと創生法の目的の一つである「東京圏への人口の過度の集中」が是正されたとしても、地方の暮らしが変わるわけではありません。自治体に求められるのは、地域の実情を踏まえ、国の政策に踊らされない取組みです(渡部 2024:155-156)。
このことは、自治体には、国の動向に関わりなく自主的・自発的に地方創生に取り組むことが求められることを表しているといえます。そして地方創生には、「守り」と「攻め」の両方の視点を持つことが有効です。地方創生も自治体改革(議会改革、行政改革)であると考えれば、地方創生には「守り」と「攻め」の視点を持った、文字どおり戦略的な政策が求められます(表2参照)。
出典:筆者作成
表2 日本の自治体・地域が直面している課題(=地方創生の課題)
を解決する戦略的な政策
