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特集 創生する議会基本条例 ―これからの議会のかたち

2025.11.10 条例

議会改革の柱としての議会基本条例

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4 デジタル技術を活用した議会のアクセシビリティ向上

 次に、デジタル技術を活用した議会のアクセシビリティ向上について述べる。新型コロナ禍において、行政同様に地方議会もオンライン化が急速に進んだ。総務省通知(11)によると、従前からオンラインでの委員会開催は可能という見解が出されていたが、本会議における表決は議員が議場において行わなければならないとしつつも、オンラインによる質問は差し支えないとされるところまで進んできている。実際に2024年の1年間でも83市議会(10.2%)でオンラインによる委員会が開催され、314市議会(38.5%)で会議等のオンライン開催に係る会議規則、委員会条例等の改正がなされている(12)。図1で示すように、新型コロナ禍に比べると開催のピークは過ぎているようであるが、引き続き必要に応じてオンライン会議を併用することが時代の潮流になりつつある。
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出典:全国市議会議長会「市議会の活動に関する実態調査結果」より筆者作成
図1 市議会のオンライン会議開催状況の推移(2020年〜2024年)

 国立市議会においては、検討はされているもののオンライン開催に関する例規上の整理がなされていない。2018年には議会基本条例に基づく会議規則の改正が行われ、男女共同参画推進の観点から会議等の欠席理由について、看護と介護が新たに加えられた。また、議員本人又はその配偶者の出産のために欠席する場合の届出の規定が設けられた。国立市議会は比較的女性比率が高い(42.9%)(13)が、女性の参画や議員のなり手不足解消の一助にもなり得る、時代に即した改正であると評価できる。新たな感染症への備えとともに、こうした育児や介護などを必要とする議員の利便性向上の観点からも、オンラインによる委員会開催等についても導入すべきであろう。他方で、インターネットでの生中継及び傍聴席に設置されたモニターではAIによる字幕表示がなされ、傍聴する市民のアクセシビリティ向上につながっている。また、2025年第4回定例会から議員にはタブレット端末が支給され、議会資料のオンライン化が行われる予定となっている。
 太子町議会では、議会基本条例15条2項において「情報通信技術を活用した効率的かつ合理的な議会運営を推進します」と規定されている。条例制定以前から、議長を除く全議員で構成される「議会ICT化特別委員会」が議会改革特別委員会とは別に設置され、議論がなされている。
 奥州市議会では、既にインターネット中継における字幕付き配信や議場内傍聴席モニターでも字幕表示がなされている。また、単に紙を電子化するだけでなく、議会基本条例10条の2に基づき政策立案機能の強化に資するICT活用を「ICT推進方針」(令和5年8月)としてまとめている(14)。2年前に策定された方針でありながら、生成AI(ChatGPT等)の積極的活用やオンラインアンケート(Googleフォーム等)を活用する点が明記されていることは特筆すべきものである。こうした取組みを通じ、政策立案・提言時の客観的な基礎データを収集する方針も示されている。さらに、災害時にも議会活動を継続するため、オンライン会議システムやSNSアプリ(LINE WORKS等)の活用を規定し、BCP(業務継続計画)に基づく行動を推進している。

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