牧瀬 太子町議会において、議会基本条例は、制定して間もないため、良い点のみで、改善点は見られないという感じでしょうか。むしろ、制定間もない条例の改善点があるようだと、それは不完全な議会基本条例ということになりますものね。ただ、制定間もないため、まだ運用できていない部分もあるようです。その点が今後の課題かもしれません。
運用できていないのは、例えば、「議長への手紙」制度があります(7条4項)。議長への手紙というのは、既存の議会基本条例には見られません。執行機関は「市長(町長・村長)への手紙」を用意しています。市長と議会は二元代表制です。市長への手紙があるならば、議長への手紙があってもよいでしょう。しかし、そのような制度はありませんでした。また、住民から見れば、意見をいえるチャンネルはたくさんあった方がよいと思います。太子町議会は「議長への手紙」を条例という法的根拠に基づき用意した点が画期的です。しかし、運用はこれからなのですよね。
そのほか、議会の表彰制度(11条5項)や主権者教育の推進(同条6項)なども、まだ運用されていないため、今後に期待という感じでしょうか。
もう一点あります。議会基本条例は「議会」が対象となりますが、関係者は多くいます。関係者とは、同条例に影響を受けるものです。その関係者の一つが町長部局ですが、その町長部局ともしっかり調整を進めて議会基本条例を検討したことも、重要な視点であると思いました。
議会基本条例は、議会だけで進めると、実効性がなくなるということだと思います。
最後の質問になります。論点3になります。議会改革等を踏まえて、今後の太子町議会の展望を教えてください。なお、今回のパネルディスカッションの副題は「議会基本条例、一石投じて変わる百年先の議会」となっています。議会基本条例や議会改革を通じて、どのような太子町をつくっていきたいのかも教えてください。
出原 次の議員につなぐための研修や評価・検証の規定を活かし、この条例が将来にわたって太子町議会の羅針盤であり続けることを期待しています。100年先は分かりませんが、5年、10年、20年を見通したときに、地方自治の意義をもっと高めることが重要だと思います。
身近な政治の場である地方議会に多くの町民が参画することは、我が国の政治全体の状況をもより良い方向に変えていくだろうと考えています。
中薮 議会基本条例は、太子町らしさと、全議員の意見を集約してつくりました。自分たちでつくり上げるのだという、この条例に込められた意思を次世代の議員にしっかりと継承していける議会でありたいと思っています。引き続き、議員報酬や定数についてもしっかり向き合って議論していこうと思います。
フロアとの意見交換の様子
