【コーディネーター】
関東学院大学法学部地域創生学科教授 牧瀬 稔
【パネリスト】
太子町議会議員 出原賢治
太子町議会議員 中薮清志
〈パネルディスカッション〉
牧瀬 これから「ヤバい議会基本条例の制定とこれから:議会基本条例、一石投じて変わる百年先の議会」をテーマに、パネルディスカッションを開始します。
ヤバいの「ヤバ」は「法に触れたり危険であったりして、具合の悪いこと」と辞書にあります。一方で、大学生など若者のいう「ヤバい」は「かっこいい」や「素晴らしい」と肯定的なニュアンスを持っています。ここで使用している「ヤバい」は後者の意味が強くあります。
「和のまちをつくる太子町議会基本条例」のヤバさは多くあります。例えば、前文に特徴があります。図は前文です。聖徳太子推しが理解できると思われます。同条例の前文は、太子町の未来に向けた手紙の形式で書かれている点も特徴です。同条例の前文を読んで、感動した議長がいたと聞いています。
図 「和のまちをつくる太子町議会基本条例」の前文
また、同条例は全17条から成立しています。その理由は、聖徳太子が制定した「十七条憲法」を意識しているからです。全17条に集約した点も、ヤバさの一つです。そのほか、既存の議会基本条例には見られないヤバさが多くあります。
出原議員から「和のまちをつくる太子町議会基本条例」の制定経緯や特徴等の話がありました(「『和のまちをつくる太子町議会基本条例』制定の経緯と特徴」議員NAVI 2025年9月25日号参照)。また、私(牧瀬)が議会基本条例の全国的な傾向を説明しました(「新しい議会基本条例に期待して:『something new』を考えたらどうだろうか」議員NAVI 2025年9月10日号参照)。これらを受けて、このパネルディスカッションがあります。
今回は、大きく次の三つの論点を用意しました。それは、①太子町議会の議会改革の経緯、②和のまちをつくる太子町議会基本条例の良い点や改善点、③議会改革、議会基本条例の展望、です。
登壇者は、太子町議会改革特別委員会副委員長の出原賢治さんと、同委員会委員長の中薮清志さんです。コーディネーターは私(牧瀬)が担当します。
最初の論点は「議会改革の経緯」です。太子町議会改革の経緯はどのようなものですか。出原さん、中薮さんの順番で教えていただけますか。
