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条例REPORT

2025.09.25 まちづくり・地域づくり

鳥取県健全な民主主義のための公明かつ適正な選挙の確保等に関する条例

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2 条例制定による効果

 公選法等の規定が適切に解釈・運用されなければ、たとえ罰則があったとしても空文化、形骸化し、本来の目的・役割を果たせないということになりかねません。選挙管理委員会等がこれらの法令を適切に解釈・運用していくという趣旨を条例で明記することにより、選挙管理委員会等が適正に選挙の管理執行を行えるようにするとともに、違法な行為・法の趣旨を損なう行為をしてはならないということを候補者、選挙人等にも意識してもらい、地域社会全体で公選法に反する選挙運動等を許さないという機運を醸成することで、公明・適正な選挙を確保することができるものと考えています。
 条例制定後の選挙運動の適正化の取組の一例として、鳥取県が独自に導入した「自らの当選を目的として候補者になる」旨の宣誓書が挙げられます。これは、昨今問題視された選挙運動に係る2馬力行為の抑止のために、立候補届出時に自身の当選を目的とし、他候補の応援をしないということを候補者に宣誓させることとしたもので、令和7年5月に行われた鳥取県議会議員米子市選挙区補欠選挙において初めて提出を求め、続いて同年7月に行われた参議院議員通常選挙でも鳥取県及び島根県参議院合同選挙区選挙管理委員会で合意し、宣誓書の提出を求めることとし、両選挙とも円滑に導入することができました。
 また、条例5条において規定した主権者教育の推進については、小学生等若年層から成年に至るまでの発達段階に応じた教育を充実させるため、小学校6年生及び中学校3年生の年代の児童生徒を対象とし、公民の授業や総合的な学習の時間等と組み合わせ、鳥取県の地域課題等を投票テーマとしたオンライン選挙「ちいわか総選挙」(1)を全県的に実施することとしています。ちいわか総選挙での児童生徒の投票結果は公表されるとともに、最多得票を得たものは、原則として実際に鳥取県の施策等に反映されることとなっており、自分たちが投票を通じて意思表示したことが実現したといった体験を通じ、若者の政治的有効性感覚を養い、積極的に政治参加する主権者としての成長につなげることとしています。
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ちいわか総選挙の小学6年生用教材(表紙と裏表紙)

 加えて、条例6条において規定した投票環境の向上については、県単独の補助制度「地域民主主義再興事業補助金」(補助率2分の1)を創設し、市町村が行う民主主義再興のための事業計画策定及び計画実施のための経費を支援することとし、市町村の地域特性・地域事情に応じた投票環境向上のための取組を支援できるようにしています。また、研究会での提言を受け、一つの投票所に配置される投票立会人2~5人のうち1人を投票所から離れた遠隔地に配置し、オンラインを通じて投票立会いを行う「オンライン投票立会」の仕組みを導入しました。パソコン・カメラ・モニター・マイク・スピーカーなどを用い、オンライン会議を行う要領で立会いを行うことができ、遠隔地から立ち会えることによる立会人の確保の円滑化、立会人の負担軽減、移動期日前投票所の人員の縮減等に効果を発揮します。
 このオンライン投票立会は、江府町長選挙及び江府町議会議員再選挙(令和6年7月21日投開票)の期日前投票において初めて実践され、衆議院議員総選挙(同年10月27日投開票)では南部町の期日前投票において国政選挙として初めて実践されました。
 鳥取県としては、上記補助金の交付、オンライン投票立会を行うための技術的な助言その他の支援を継続していき、今後もこの仕組みを活用して中山間地域等の投票立会人不足の解消及び投票所の維持・増設につなげていきたいと考えています。
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