鎌倉市都市整備部道路課整備担当
1 条例制定の趣旨・概要
道路上の電柱や電線は、景観を損なうだけでなく、歩行者や車いす使用者等の通行の妨げとなります。また、地震時には倒壊した電柱が緊急車両等の通行を阻害するリスクがあることに加え、長期停電のリスクもあることから、電線を地中に埋設し電柱を撤去する無電柱化の必要性が増しています。
鎌倉市(以下「本市」という)においては、インバウンドの観光客が増加していることや、沿岸部で津波避難の課題があることなどから、無電柱化の取組は観光施策とも親和性の高いものであると認識しています。
このような状況を鑑み、令和6年(2024年)11月に無電柱化を推進するため「鎌倉市無電柱化推進計画」を策定しました。無電柱化推進に関する基本的な方針を定めるとともに、無電柱化候補の対象路線を選定し、令和16年度(2034年度)末までの約10年間に無電柱化手法を検討し、事業化を図っていく予定としています。
他方、本市が初めて主体的に行う土地区画整理事業が進行しており、当該地については、無電柱化とすることでウォーカブルなまちづくりを目指しています。
当該区画整理事業完了後に想定される二次開発に加え、本市が管理する既に無電柱化された路線において、新たな電柱が設置されないよう、当該区画整理区域及び路線に無電柱化を義務付ける「鎌倉市無電柱化条例」を、令和7年(2025年)4月1日から施行しました。
2 条例制定による効果
既に無電柱化が実施された路線及び今後無電柱化が予定されている区域を対象に指定することで、二次開発等による電柱の建柱抑制を図ります。条例の対象としている路線及び区域は、以下のとおりです。
① 対象路線(既に無電柱化を実施済み)
・小町通り(市道032-000号線)
・芸術館通り(市道059-003号線(一部)、市道059-045号線(一部))
② 対象区域(今後無電柱化を実施予定)
・深沢地域整備事業区域(県道304号を除く)
上記対象路線又は区域内に電線類を敷設する場合、電柱を設置することなく電線類を地下に埋設することにより敷設するための管路その他の規則で定める設備を整備する必要があります。また、上記区域内に自ら内線(電気事業者又は電気通信事業者以外の者が所有する電線類)を敷設しようとする者は、電柱を設置することなく、内線を地下に埋設することにより敷設する必要があります。費用負担として、電線類の敷設を要請しようとする者は、電線類を敷設する者に対し、費用(電柱を設置することなく、電線類を地下に埋設することにより敷設するために必要な費用のうち、架空線により敷設する場合に要する費用を除いたもの)を負担する必要があります。
これらの規定に違反又は違反するおそれがあると認める者に対し、違反を是正するために必要な措置をとることを勧告できることとし、また、勧告を受けた者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができるとしています。
3 今後の課題や運用上の留意点など
今後、「鎌倉市無電柱化推進計画」に基づき、無電柱化が完了した路線について、条例の対象として追加指定していく予定です。また、開発事業等で事業者により無電柱化された路線等についても、条例の対象として追加する考えです。
〇鎌倉市無電柱化条例
