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特集 創生する議会基本条例 ―これからの議会のかたち

2025.09.25 条例

「和のまちをつくる太子町議会基本条例」制定の経緯と特徴

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条例制定のその後

 議会基本条例はつくることが目的ではなく、制定されたことがゴールでもない。条例に規定した制度や理念を実践し、住民福祉の増進に結びつけることが重要である。
 既に実施に移した規定としては、「服装の自由化」や「健康診断」、「町長等による反問」(8条5項)などがある。「情報通信技術の活用」(15条2項)については、前の第18期の頃から議会ICT化を本格的に推進し、今期に入りタブレット端末を導入、現在も検討を続けている。
 一方で、これから制度設計を行わなければならない新たな取組み(「議長への手紙」や「議会サポーター」など)や、従来からなされてきたが一層の進歩が求められる項目(広報広聴活動のあり方など)も多々ある。あと1年半でどこまでできるか。今期太子町議会の真価が問われるところだ。
 議会改革特別委員会はその後も継続しており、現在は「業務継続計画(BCP)の策定」(12条2項)と「ハラスメント防止」(10条4項)について、二つのグループに分かれた分科会の形で検討を進めている。目下、委員会として取り組んでいるのは、「議員報酬」(15条3項)、「議員定数」(15条4項)の適正化に向けた協議。議員の報酬・定数を見直そうとする動きは全国的に加速しており、特に町村議会では「それだけでは生活が維持できないほど低水準な」議員報酬が「なり手不足」の要因の一つとも懸念されている。2027年の春には次の統一地方選挙が行われ、私たちの任期も終わる。新たな担い手が立候補するために、少なくとも1年間の周知期間が必要と見込み、来年3月を目標に進めている。
 「住民との意見交換会」は、アドバイザーである牧瀬教授と関東学院大学の学生さんの協力を得て、ワールドカフェ方式によるスタイルが定着してきた。つい先日も、議員の報酬・定数をテーマとして今期3回目となる「カフェトークたいし」を実施、約30人の住民との活発な意見交換が行われた。
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写真2 第3回「カフェトークたいし」(2025年9月13日、太子町議会棟にて)。
ワールドカフェ方式で住民と議員がフランクに意見を交わす。
今回のテーマは、「議員報酬・議員定数を考える。」

議会改革、その先へ

 最終第17条には、この条例そのものについて評価・検証し、必要に応じて改正する規定を設けている(17条4項)。時代や環境、議員や議会構成も変わっていく。新しいことは、やってみて、検証し、修正する、これを繰り返していくプロセスが欠かせないだろう。そうしたPDCAサイクルを回す全ての取組みがそうであるように、議会改革にもまた終わりはない。これからもその時々の議員と議会が判断していくことになる。
 大切なことは、何のための議会改革なのかということであり、議会が住民自治の根幹としてその責務を果たし住民福祉の増進につなげるという、その目的を見失わないことである。「和のまちをつくる太子町議会基本条例」がそのための指針となって、根底に流れる理念が町の未来に向けた礎ともなることを期待したい。
 本稿を閉じるに当たり、条例前文の最後に掲げた一文を引用する。
 「太子町が、将来にわたって住民の幸福度が高いまちとして発展し続けることを願い、関わるすべての人々とともに私たちは歩み続けます。」

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