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特集 創生する議会基本条例 ―これからの議会のかたち

2025.09.10 条例

新しい議会基本条例に期待して:「something new」を考えたらどうだろうか

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5 議会創生を目指して

 本特集の目的は、「和のまちをつくる太子町議会基本条例」を題材として、これからの議会基本条例を考えることである。太子町議会は、今までにない議会基本条例を創造した(この点は賛否両論あるが、筆者は「賛」の立場をとる)。本稿では、太子町議会の基本条例をややリスペクトする立場で執筆してきたが、実は課題もある。
 和のまちをつくる太子町議会基本条例には、特徴的な条文がある。例えば、住民からの声を受け付ける窓口として「議長への手紙」の制度を設けている(7条4項)。
 同規定は他の議会基本条例には見られない。執行機関は「市長(町長・村長)への手紙」を用意している。市長と議会は二元代表制である。市長への手紙があるならば、議長への手紙があってもよいだろう。しかし、そのような制度はなかった。また、住民から見れば、意見をいえるチャンネルはたくさんあった方がよい。太子町議会は、「議長への手紙」を条例という法的根拠に基づき用意した点が画期的である。
 また、議会活動への住民の協力に感謝し、必要に応じて感謝状等により表彰を行う規定もある(11条5項)。同条例は、主権者教育を推進し、次世代の議員候補者育成に努めることも記されている(11条6項)。そのほか、今までの議会基本条例には見られない条文が用意されている。
 いくつか特徴的な規定はあるが、まだ運用されていない(事例がない)。この特徴的な条文を生かすのか、殺すのかは、太子町議会に覚悟が求められている。
 最後に「議会創生」の必要性に言及して、本稿を終えたい。今日、国が強く進めているのは「地方創生」である。ここでいう「地方」は「地方自治体」を意味する。そして「創生」は辞書で調べると「初めて生み出すこと」という意味がある。
 そこから筆者は、地方創生を「地方自治体が、従前と違う初めてのことを実施していくこと。あるいは、他自治体と違う初めてのことに取り組んでいくこと」と定義している。
 地方創生の地方を「議会」に変えてみる。それは「議会創生」である。議会創生は「地方議会が、従前と違う初めてのことを実施していくこと。あるいは、他議会と違う初めてのことに取り組んでいくこと」と定義できそうである。
 今までは「議会模倣」が強かった。そのため議会基本条例の制定を検討するときは、類似事例を模倣することが多かったと思う。その結果、現在存在する議会基本条例は、類似性のオンパレードである。これではイノベーションは起きない。これからは議会創生を目指してほしいし、これから議会基本条例を検討する議会は、「something new」(新しい何か)を検討したらどうだろうか。

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