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特集 創生する議会基本条例 ―これからの議会のかたち

2025.09.10 条例

新しい議会基本条例に期待して:「something new」を考えたらどうだろうか

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4 もっと特徴的な議会基本条例があっても……

 現在存在する1,030議会基本条例の全てを調べたわけではないが、多くの議会基本条例を読むと、三重県議会、湯河原町議会、会津若松市議会等の議会基本条例をモデル条例として派生しているように感じる(栗山町議会基本条例を完全コピーしているケースは意外に少ないようだ)。
 表は、三重県議会、湯河原町議会の議会基本条例の目的規定である。A議会は三重県議会パターンといえる。三重県議会基本条例をコピーしているケースは12議会見つかった(もっとありそうだ)。B議会は湯河原町議会基本条例を模倣しており、筆者は8議会基本条例を確認している(特に町議会に多い。このケースも、もっとあるだろう)。
スクリーンショット 2025-09-08 163530

表 議会基本条例目的規定の類似性

 参考として、和のまちをつくる太子町議会基本条例の目的規定を記している。全く違うということが理解できるだろう。全く異なる条文になったのは、議会基本条例をゼロベースの観点から検討したからである。
 筆者は、画一的な議会基本条例では議会(地域)の実情を反映できないし、地方自治の形骸化にもつながると考える。その結果、地方自治(議会を含む)の未来を暗くしてしまう。また、何よりもコピー&ペーストの議会基本条例では、議会(議員)が工夫するインセンティブがなくなり、議会政策にイノベーションが生まれにくいと考えている。
 もっと特徴的な議会基本条例が登場してもよいのではないか。
 ここまで読んで、読者は「和のまちをつくる太子町議会基本条例の類似性は何パーセントか」と気にするかもしれない。それは内緒にするが、同条例の1条の見出しは「和を以て貴しと為す」である(表)。多くの議会基本条例の1条は「目的」と記しているが、太子町議会は違う。この点が(遠回しになるが)回答である。
 読者は理解していると思われるが、太子町の太子は「聖徳太子」に由来がある。太子町は、推古天皇から聖徳太子に与えられた地域だと言い伝えられている(太子町は宮本武蔵の出生地としても有力な一つの候補である)。そのため1条が「和を以て貴しと為す」から始まっている(ここに太子町議会としてのオリジナリティがあり、魂が入っている)。
 さらにいうと、和のまちをつくる太子町議会基本条例は全17条から成立している。その理由は、聖徳太子が制定した「十七条憲法」を意識しているからである。このように太子町議会が制定した議会基本条例は、聖徳太子の影響を大きく受けている。同条例の制定経緯や特徴等は、本特集の第2回で説明する。

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