2 条例制定による効果
今般の条例改正は、現代のデジタル社会において、子どもたちが、闇バイト、オンラインカジノ、性暴力、いじめ・誹謗中傷などの深刻な被害にいつ遭ってもおかしくない現状、また、非違行為であるとの認識なく子どもたちが加害行為に加担し得る現状について、必要なルールを設けることにより子どもたちを守るとともに、県民全体にこうした問題について考えてもらい、県内の子どもたちの心身健康な成長を支える環境を整えようとするものです。各学校や保護者からは好意的な意見を多数いただき、県庁内外の関係者とも日頃の取組や問題意識を共有してさらに連携を強化するきっかけとなったように感じています。
改正条例の施行後は、県内の全小中学校及び高校の入学式での改正条例のチラシ配布、PTAでの説明会実施など、様々な機会を通じて県民への周知に取り組んでいるほか、本年4月1日には「青少年SNS・ネット悩みごと相談窓口」を設置し、青少年やその保護者からSNSやインターネットの利用をめぐる様々な相談(いじめ・誹謗中傷、性被害、長時間利用、フィルタリングの方法など)を受け付けています。また、児童ポルノ等の被害に遭われた方に対する弁護士相談費用の助成事業や、民間団体と協力してデジタルメディアリテラシーを啓発する中学・高校への出前講座などを新たに開始しました。
さらに、児童ポルノ等の被害については特に迅速な支援が必要であることから、「性的ディープフェイク被害児童サポートプログラム」として関係部局が連携し、相談、被害者支援、違反者に対する対応など、迅速に対応する体制を構築しています。
本県の取組については、県内のみならず全国からも注目と評価をいただき、子ども虐待・性犯罪の防止や、デジタル性暴力の被害者支援などの分野で活動されている複数の民間団体との新たな連携も生まれています。
3 今後の課題や展望など
改正条例の趣旨を踏まえ、子ども・保護者・県民に対する継続的かつ効果的な啓発が大切であると考えています。本年6月には、県内外の有識者により構成された専門家チームを立ち上げ、学校現場における子どもたちの情報活用能力の教育等について意見交換を行ったほか、子どもの発達段階に応じた啓発資材の作成について協力をいただいているところです。啓発や被害者支援などの地道な取組を重ねていくことで、県内事案のさらなる把握・分析や関係支援機関との連携を強化していきたいと思います。
なお、インターネット・SNSをめぐる子どもたちの権利保護や安全の確保については、居住自治体にかかわらず、日本に住んでいる全ての子どもについて保障されるべき事柄であると考えられます。本県の条例改正は、現に起きている問題について子どもたちを守るという決意を県民に示し、自治体としてできる対応を早急に行ったものですが、幸いにも、こうした挑戦の背景と意義について国や関係機関に理解をいただきながら進めることができました。子どものデジタル性被害について、国における対応策のさらなる検討が進んでいくことを期待するとともに、引き続き、関係者の参考となるような取組を示していけるよう、県として、円滑な制度・事業の実施に取り組みたいと思います。
〇鳥取県青少年健全育成条例
