(2)改正概要
鳥取県青少年健全育成条例は、県内の青少年(18歳未満の者)の健全な育成に関する県及び県民の果たすべき責務を明らかにするとともに、青少年のための良好な社会環境の形成を図るために必要な措置を講じることにより、青少年の健全な成長に寄与することを目的とした条例です。本条例では、これまで、フィルタリングソフトの活用によるインターネット上の有害情報の閲覧又は視聴の防止や、青少年に対するわいせつ行為及び児童ポルノ等の提供要求の禁止などを定めていましたが、今般問題となっているSNSやAIなどデジタル技術を使った犯罪被害等についても、本条例の趣旨にのっとり、青少年が被害者にも加害者にもならないよう、条例改正に向けた具体的な検討を進めました。
令和7年1月に、条例改正の方向性に関する県民を対象にした電子アンケート(有効回答者400人)やパブリックコメント(意見受付け67件)を実施し、そこでいただいた意見や各種審議会において聴取した有識者意見などを踏まえ、
- 青少年の個人としての尊厳が重んぜられることを妨げられないよう、青少年にSNSの適切な利用方法を習得させることを保護者、学校関係者等の努力義務として規定
- 条例において「児童ポルノ」の定義を明確化し、生成AIで実在する県内青少年の容貌を加工して作成した画像であっても、容貌の忠実な描写と認識できる性的姿態画像であれば児童ポルノに含まれることを確認的に規定した上で、その作成・提供を禁止
- オンラインカジノは賭博に該当することを確認的に規定した上で、青少年にオンラインカジノや強盗、詐欺その他の犯罪行為を行う機会をインターネットにより与えることを禁止
することなどを主な内容とする条例改正案を令和7年2月県議会に提出し、全会一致で可決され、同年4月1日に施行されました。
さらに、生成AI等を利用したいわゆる性的ディープフェイクも含む児童ポルノの作成・製造・提供については、被害者である子どもの心身に極めて深刻な影響を及ぼし得るものであり、県民アンケートや有識者意見においても、違反に対する罰則を求める意見が大多数であったことを踏まえ、関係機関との調整を経て、違反者に対する5万円以下の過料処分、知事による児童ポルノの廃棄等命令などを定める追加的な改正案を令和7年6月県議会に提出しました。
県議会においては、担当常任委員会の勉強会が複数回開催され、委員会に所属しない議員も多数参加されるなど、丁寧な議論を経て全会一致で可決され、同年8月4日に施行されました。なお、県議会での条例改正案採決の際、以下のとおり附帯意見が付されています。
2 インターネット上に公開された有害情報について、加害者への廃棄・削除命令にとどまらず、拡散防止に努めるとともに、被害相談・救済体制の充実を図るなど、最大限被害を受けた青少年及びその家族に寄り添った対応を行うこと。
3 国に対し、法で規制される児童ポルノについて、生成AI等により作成されたものも対象になることを明確化し、厳正な取締りを行うよう、引き続き、強く働きかけること。
