より良い「『地域コミュニティの基本ルール』の向上」を目指して……〈地域ルールを突合表で評価し、突合表も見直す（改善する）〉

　「『地域コミュニティの基本ルール』の向上」を目指すためには、例えば、表４のような基本ルールの突合表をつくり、ある程度は（＝関心のある人は）誰でも機械的にチェックできることが必要です。突合表があれば、誰もが比較的容易にそのルールをチェックし、間違いに気がつくのではないでしょうか。

出典：筆者作成
表４ 「地域コミュニティの基本ルール」の突合表（例）

　なお、間違ったルールには、はじめから間違っていたものと、環境が変わったために途中から間違っていることになったものがあります。
　間違ったルールは、地域に問題を起こす帰結となります。なぜなら、間違ったルールは「情報の非対称性」をもたらし、「情報の非対称性」は「誤った情報」につながり、それが「恐怖」を生み、さらに「憎悪・復讐（ふくしゅう）の連鎖」をつながるからです。だからこそ、地域ルールの向上を目指して、地域ルールを突合表で評価し、突合表も見直す（改善する）ことが求められるのです。
　これらの取組みは、はじめは容易ではないかもしれません。そのため、試みの始まりは小規模なものでもよいでしょう。それが大きくなっていけば、地域コミュニティを変える力になるはずです。斎藤幸平は、「ハーバード大学の政治学者エリカ・チェノウェスによれば、3.5％の人々が立ち上がることで社会は変わる。その第一歩を、私たちは今こそ決意して、踏み出すべきである」と述べています（斎藤 2023：8）。市民は、議員の皆さんが、地域コミュニティの人々と連携・協力するために、「地域コミュニティの基本ルール」をつくり、実行し、見直し（改善する）することを期待しています。

地域コミュニティでの取組みは自治体・国・世界を変容させる

　地域コミュニティでの人々の取組みは、ポジティブに捉えると自治体や国や国際機関に好影響を与え、関係者や市民をいい意味で変容させることができます。平和をもたらすこともあるでしょう。しかしながら、地域コミュニティでの人々の誤解・錯誤・葛藤・不安・排除・差別は、自治体や国や国際機関にネガティブな影響を与えてしまいます。戦争や紛争につながることもあるのではないでしょうか。このように、地域コミュニティは、自治体や国や世界にとっても重要で大切なものです。自分たちが日々の生活の中でできることを見つけ、みんなの手で地域コミュニティを育てていくこと、そのために対話を通じた信頼関係を構築し地域コミュニティの心を体現することが重要です。そして、身近な政府の議員である自治体議員には、地域コミュニティのために、抑制的立場を維持しつつも力を発揮することが求められています。