議会はコミュニティや行政の限界そして市場の失敗を補完する、コミュニティや行政そして市場は議会の限界や失敗を補完する

　議会はコミュニティや行政の限界そして市場の失敗を補完します。逆に議会の限界や失敗はコミュニティや行政そして市場から補完されることになります。これらの補完作用が機能しないと、地域コミュニティや個々人に大きな問題が生じます。公害問題は、その証左となります。
　安部浩成がいうように「地域コミュニティは、自主性・主体性・自立をキーワードとする能力的な存在」（安部 2022：21）です。そこには、コミュニティはもとよりコミュニティと補完関係にある議会や行政そして市場の行動にも、他者に対する予測可能性が高いことが望まれます。ただし、その予測可能性が予定調和によるものであってはなりません。

地域コミュニティでも議員には市民との相互支援が必要

　地域コミュニティ（コミュニティ）においても、偽りのない誠実な行動が成就するとは限りません。成就の可能性を高めるためには、熟慮と工夫が必要になります。また、コミュニティの構成員がお互いの持っている能力（図参照）を活用し、相互に支援することが重要になります。
　これらのことは、コミュニティ内における議員活動にも当てはまります。なお、議員には、「リーダー構成員が持っていることがふさわしい能力」だけでなく、「地域の誰もが持っていることがふさわしい能力」も併せて求められます。

出典：筆者作成

図 「地域の誰もが持っていることがふさわしい能力」と
リーダー構成員が持っていることがふさわしい能力」の種類と割合

　「政策課題の発生源は、市民の暮らしにあり、政策は、必ず個人の発想を起点にするもの」（松下 1991：149）（土山 2018：113）であるから、政策をはじめに考えたり実行する人は一人あるいは少数者であることが想定されます。そのため、発想した個人は、関係者や広く市民の説得に時間を要したり、誹謗（ひぼう）中傷を受け苦労することも少なくないかもしれません。このことはまた、政策を発想したり応援しようとする議員の皆さんにも当てはまります。しかし、その苦労はやがて人々の幸せにつながると思い、志を高く持ち、闘い続けることが必要です。私たちは、このような考えを持つ議員の皆さんの活動に期待しています。