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2025.07.25 政策研究

第24回 地域コミュニティと議会

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災害対応時の地域コミュニティ

 また阪本は、「災害対応時における地域コミュニティは、地域という『公共』のために官民問わず多様な主体をつなぎ、市民の合意形成を行う主体(アクター)となっている」(阪本 2025:186)と述べています。表5は、〈その理由と、理由となりうる事項(=災害対応時の地域コミュニティが「力(ちから)」を発揮した理由〉を筆者(=田中)が整理したものです。

 
  • 自助や公助による対応の限界と共助の必要性が認識されていること
  • 厳しい状況が押し迫っていること
  • 自分が住む地域コミュニティへの愛着と帰属意識があること
  • 地域コミュニティを形成する根底に、生活の場における地域市民の相互信頼があること
  • 自治体政府(議会・行政)で検討する時間がない(=緊急性がある=合意する時間がない)こと
  • 平常時、地域コミュニティで処理していることと同程度の事項であること
  • 見捨てられた経験から、見捨てることはしたくないと思うこと
  • 見捨てる人にはなりたくないと思うこと


 (より具体的には、)

  • 子どもの頃から親しく知っている人を助けたいと思うこと
  • 子どもの頃、面倒を見てもらっていた人を助けたいと思うこと
  • 意見の表明を抑圧するような人為的介入が存在しない条件下において、表立った「非同意」が顕在化していないこと

出典:筆者作成

表5 災害対応時の地域コミュニティが「力(ちから)」を発揮した理由

災害時の地域コミュニティを議会においても自分のこととして想像し、アイデアを考え、それを検証することが大切

 瀧本浩一は、災害時の事例は「事例をみて、自分のこととして想像し、アイデアを考え、それを検証することが必要である」(瀧本 2023:97)と述べていますが、災害時の地域コミュニティを議会においても自分のこととして想像し、アイデアを考え、それを検証することが大切です。
 繰り返しますが、地域コミュニティは平常時に力を発揮するだけでなく、発災時には避難や復旧に当たって大きな力を発揮します。しかし、急激な人口の減少や少子高齢化により、地域コミュニティの力は衰退しています。このような状況下において、災害の発生は地域コミュニティの課題を急激に加速させます。
 しかしながら、災害の発生を機に、すなわち災害からの避難、復旧、復興を通じて崩壊しつつある地域コミュニティを立て直そうとする自治体も見られます。そのような地域コミュニティは、当該地域コミュニティと連携協力する団体等と力を合わせ、「地域コミュニティ資源」と、「地域コミュニティ連携資源」を活用しています。
 なお、一般にコミュニティは、町会・自治体のような地域コミュニティと、NPO・学会のような課題コミュニティに区分されていますが、地域コミュニティと課題コミュニティには多様なものがあり、個々人から見た場合には一人のひとが複数のコミュニティに属しています。また、地域コミュニティ・課題コミュニティによる共助は、様々な自助・共助・公助を連携させ、支え合う構図をつくります。

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