2 予算とは何か?
行政は、総合計画の下、毎年の事業計画や予算案を作成し議会へ提案する。議会がそれらを審議して可決すれば、行政は提案どおりに執行していく。毎年作成される「予算」とは何だろうか?
予算とは「何かをするために、前もって必要な収入と支出を見積もったもの」である。何かをするためにというのが、行政の場合は「まちづくりを進めるための○○」というのが多そうだ。「まちづくり」とは何か? と考えると、「住みやすい地域になるよう様々な地域の資源を活用して地域を経営していくこと」といえるだろう。ここでいう「様々な地域の資源」とは「人・モノ・金・情報・つながり」のことであると考えると、予算とは、まちづくりを進めるための資源の一つであるということになる。すなわち、予算はあくまでも人やモノ、情報やつながりなどを最大限に機能させるために活用するものであり、地域を経営するツールである。一般的に役所の中では「お金がないとできません」、「人がいないとできません」という声を聞くが、実は、予算は絶対必要なものではなく、お金がなくても創意工夫で資源の最大化を図りながら実施できることも多々ある。予算とは必要不可欠なものではなく、あくまでも人やモノをさらに活かすためのツールの一つでしかない。
3 地域を経営するとは何か?
それでは、「地域を経営する」とは、どういう状態をいうのであろうか? 経営という文字のそれぞれの成り立ちを考えると分かりやすい。
経という字は「構想を描く」という意味がある。大工さんが家を建てるときに設計図を描いて家を建てていくが、地面に糸を張って家の輪郭を示し、そこに土台をつくって木を組んでいく。経という字はまさにこのことを表している。経は「お経」の経の字でもある。お経とは、人としてのありたい姿を示してくれているもの。すなわち、経という字は「こういうことを実現したい・ありたい姿」、「ゴール」という意味がある。営むとは「実行する」という意味があるため、経営とは、「ありたい姿を描き、それが実現するよう実行していくこと」といえるだろう。このことから、予算は「ありたい姿を実現するためのツール」ということが分かる。
地域を経営するとは、地域の未来(ありたい姿)を描き、それに向けて実行していくこと。すなわち、行政でいえば総合計画を描いて実施していく日々の業務がそれに当たる。職員の皆さんは、地域を経営するという思考を持ちながら自身の日常業務に従事しているだろうか?