2025.06.25 議員活動
第26回 子どもを虐待から救うためには
4 児童相談所
児童相談所とは、児童福祉法に基づいて設置される行政機関であり、原則として18歳未満の子どもに関する相談(虐待に関するものに限らない)や通告を幅広く受け付けている。児童福祉司などの児童の福祉に関する専門家を擁し、助言指導、継続的援助などを行っているが、児童虐待に関しては、一時保護や立入調査などの強い権限を有していることが特徴的である。
児童虐待の通告を受けた児童相談所は、まず児童の安全の確認を行い、必要に応じて一時的に児童を保護し、さらに必要に応じて児童の住む家庭等に立入調査を行うことができる。その際、警察官の援助を求めることもできる。
さらに、保護者に対する指導・勧告、児童との面会・通信の制限も可能である。虐待を行った親と子を切り離すことが弾力的かつ強力にできるようになっている。
5 通告義務
児童虐待防止法では、虐待の確信がなくても「虐待を受けたと思われる」疑いがあれば、児童相談所や市区町村に通告するよう住民に義務付けている。これは児童相談所が早期に虐待を把握することが狙いであり、通告に当たっては虐待に当たるかどうかを通告者が判断する必要はなく、匿名での通告ももちろん可能である。通告方法としては「児童相談所虐待対応ダイヤル189」に架電することが最も簡便である(189番にかけると、管轄の児童相談所に電話が転送される仕組みになっている)。また、これとは別に、虐待を含めた子どもの福祉に関する様々な相談を受け付ける窓口として、児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)も設置されており、こちらに架電することでもよい。
なお、緊急の場合は110番でもよい。
6 虐待のサインを見抜く
東京都は虐待の可能性がある場合として、次のようなチェックリストを公表している(2)。上述のとおり、虐待か否かの判断について通告者に責任はなく、少しでも虐待が疑われるような事情があれば、ためらわず通告することが望まれる。
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【虐待に該当する例】 □不自然な外傷(あざ、打撲、やけどなど)が見られる □家の外にしめ出されている □衣服や身体が極端に不潔である □食事を与えられていない □夜遅くまで遊んだり、徘徊している 〈保護者の様子〉 □小さい子供を置いたまま外出している □体罰を正当化する □子供が怪我や病気をしても医師に見せなかったり、不自然な説明をする 【虐待の可能性がある例】 □いつも子供の泣き叫ぶ声、叩かれる音が聞こえる □極端な栄養障害や発達の遅れが見られる(低身長、低体重、急な体重減少など) □季節にそぐわない服装をしている □食事に異常な執着を示す □ひどく落ち着きがなく乱暴、情緒不安定、過度に緊張し視線が合わない □気力がない、表情が乏しく活気がない(無表情) □態度が怯えていたり、親や大人の顔色をうかがったり、親を避けようとする □家に帰りたくないそぶりがある □誰かれなく大人に甘え、警戒心が過度に薄い 〈保護者の様子〉 □地域や親族などと交流がなく孤立している、支援に拒否的である □子供の養育に関して拒否的、無関心である □年齢不相応な養育(しつけ)を正当化する □気分の変動が激しく、子供や他人にかんしゃくを爆発させる □夜間徘徊などを黙認する |
(1) こども家庭庁「子ども虐待対応の手引き(令和6年4月22日改正版)」26頁以下。
(2) 東京都児童虐待防止公式ホームページ「東京OSEKKAI化計画」の「虐待を見かけたら…」より(https://www.fukushi1.metro.tokyo.lg.jp/osekkai/howto/)。
