2025.06.10 New! 議会改革
【セミナーレポート】政策サイクル推進地方議会フォーラム「『地方議会からの制政策サイクル』と成熟度モデル、議会DXのミライ」
2025年5月24日(土)、日本生産性本部主催の「政策サイクル推進地方議会フォーラム」公開セミナー(報告会)が開催されました。「『地方議会からの政策サイクル』と成熟度モデル、議会DXのミライ」をテーマに、報告会、セミナー、パネルディスカッションが行われました。その様子をレポートします。
【第1部】報告会:「成熟度評価モデル実装かの到達点と展望」
報告会では実践報告者として、福島県会津若松市議会議員・議会評価特別委員会副委員長の松崎新氏が登壇し、会津若松市議会における「地方議会成熟度モデル」の取組経過や今後の展望についての報告が行われました。
松崎氏からは、「会津若松市議会での取組の経過」、「実装化に向けた取組での気づき」、「今後の展望」の3構成での報告があり、中でも議会評価を行う目的を明確化していく必要を指摘。「『議会プロフィール』の作成が理想的な姿(ビジョン)を実現するための課題の共有に必要だ」と語りました。
質疑応答では、議会プロフィールの重要性に気づいた経緯や、評価指標、課題についての質問が飛び交い、議会モニター制度での高校生へのアプローチ手法等についての話題も盛り上がりを見せました。
【第2部】セミナー:議会DX講演・実践報告
セミナーでは、江藤俊昭氏(大正大学地域創生学部教授)、河村和徳氏(拓殖大学政経学部教授)による講演と、岩﨑弘宜氏(茨城県取手市情報管理課長)による実践報告が行われました。
まず、江藤氏による「議会からの政策サイクルと議会DX」の講演が行われました。江藤氏は、議員提案条例の「評価」は大事だが、それだけではないとし、行政改革や議会改革において重要であるPDCAサイクルのDに、討議、決定という2つのDを加えたPDDDCAサイクルという発想と手法の開発が必要であると論じました。
次に河村氏による「議会DXとDC(デジタルコミュニケーション)」の講演が行われました。河村氏は、DC活用の論点として、「開かれた多様性のある議会の創出」、「危機に強い議会」、「効率的な議会」の3点を挙げ、DC活用の壁についても論じました。
次に、岩﨑氏による「取手市での実践報告」が行われました。岩﨑氏は、議会にICTを活用した事例の説明の他、なぜ取手市がICTの活用を促進できたのか、人が議会を運営することへの「愛」を語りました。
パネルディスカッション:「議会DXと政策サイクルのミライ」
最後に登壇者4名によるパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、AIを利用することで、全てをAIに任せてしまう議員が増えてきていることへの懸念があるとし、議員同士の話し合いや市民との意見交換を深めていくことの必要性が注目されました。
また、「人間の営みと、どこまで機械に任せるか。議員が機械に任せてしまうところをどう成長させていくかが課題である」とし、「システムに適応できない人が政治家になれないミライもどうなのか」といった議論がなされ、ディスカッションは終了となりました。