2025.06.10 New! まちづくり・地域づくり
第6回 有効求人倍率0.73こんな時代 企業誘致雇用促進戦略
資生堂の進出
時の利がやってきた。日銀による異次元金融政策の功罪はあったにしても、震災後の超円高の是正が進み、1ドル75円台から110円台へと為替が円安に変わり、企業が国内回帰に動き出す予兆を感じた。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックの誘致が決まった。中国に進出していた資生堂は、メイドインジャパン志向が鮮明になって、国内の九州地区、大阪地区、関東地区の3か所に生産工場をつくる計画を立て、候補地探しを始めていた。資生堂から、ほかにも候補地はあるが、中田原工業団地についての打診があったと、かつてのダイレクトメールの担当者から聞き、青天の霹靂(へきれき)、すぐに資生堂新宿東京本社に赴いて要望を聴取し、誘致を要請した。庁内関係機関において、要望にかなうべく調整に入った。幸い新市庁舎も完成、周辺整備も進み、那須日赤、消防本部も完成し、商業施設も開設された時期であった。
時を経ず、資生堂の新工場建設地が中田原工業団地に決定したとの連絡があった。2019年11月27日、式に招かれ、晴れやかな宴会で、大田原市にまた一つ大きな美容の世界の花が咲いたと喜んだ。
資生堂那須工場
子供にツケを回さない
工業団地の開発経費を長く寝かすことは、まさに税の無駄遣い以外の何物でもない。慣例、規則に縛られ、硬直して何もできないのは不作為の罪である。最善の努力をして問題を解決することが為政者の責任と考える。工業団地が埋め尽くされることにより、雇用の創出と賃金の上昇を促し、地元定着、Uターン、Iターンを呼び、人口減少を防ぐことができる。また、自治体にとって固定資産税、事業税、所得税の増収が見込まれ、子供へのツケを少なくすることにつながる。真に必要な公共投資は何かを考える必要があり、民間でできるものは民間で行い、箱物行政は極力慎むべきと考える。
吉田先生のチェックのおかげで、市の財政負担は極力抑えて民間活力を引き出すことで、2019年の市民の貸借対照表と市長の貸借対照表は青表紙であった。ヨカッタ、ヨカッタ。ありがとうございました。