2025.06.10 まちづくり・地域づくり
第6回 有効求人倍率0.73こんな時代 企業誘致雇用促進戦略
網張漁法
同時に、企業誘致のためのダイレクトメールを作成することとした。大田原市に来てもらいたい企業を選別し、空き工業団地の情報と併せて3,000社に送った。約140通の返信の中には資生堂も入っていたが、進出の予定はないとのことだった。大半の企業は進出の希望なしであった。
問題を探り、魅力を高めるために、工業団地周辺道路の整備を積極的に進めることとした。工業団地を中心に、中核道路にアクセス道路を開設するための地権者交渉に入った。趣旨を説明し、直接交渉や土地改良事業と組み合わせて交渉した。結果、快く地元の了解をいただいて工事の着工に入った。完成すると、工業団地へのアクセスが特段に向上することになる。
一本釣り漁法
次に、誘致企業を回り、事業の拡大や関連会社の紹介をお願いするトップセールスを行った。いろいろと手を尽くした結果、進出企業が現れ始めた。しかし、その効果が表れるのには、時間と時代背景が大きく影響することから、工業団地の使途目的の変更を可能にし、病院、薬局、公共施設も可能として、できるところから実現を図っていった。
那須赤十字病院
市長就任直後の2010年4月、日赤の起工式が土砂降りの中、行われた。思い起こすと、県議時代に地元の方から当初の移転候補地は高圧線の交差場所で河川敷に近く朝もやが立ち、ドクターヘリの発着に支障があるとの情報を得て、現在の場所に移転させた経緯があった。市の財政負担は大きくなったが、現在地は面積も広く条件の良い場所であると確信している。
工事も進み、ほぼ完成の間際に東日本大震災に被災し、数十トンの大型クレーンが数メートル飛び跳ねたと聞き驚いた。幸い免震構造がしっかり機能し、建設には支障がなく完成した。そして2012年7月1日、大田原赤十字病院から那須赤十字病院に改称し、栃木県北中核病院として開院することができた。
那須赤十字病院