多治見の活動
アツいまちサミットの開催から、各地域では様々な活動を行ってきました。熊谷ではまちなかを流れている星川を活用したスイカやキュウリの栽培や各種団体との連携、四万十では特産物である「米ナス」を活用した熱中症予防レシピの開発や飲食店・給食での米ナスメニューの開発・提供、山形では大学と連携した様々な取組、浜松ではスポーツと関連付けた取組など、それぞれ一端ではありますが、地域ごとに特色のあるテーマで暑さ対策の活動を行っています。共通していえることは、「地域に根差した活動」であるということです。
多治見でも様々な取組を行ってきました。2018年にはタイルを活用したオリジナルオブジェをつくるワークショップを行うことで地域の特色を知り、朝の涼しい時間にそれを行うことで熱中症のリスクを抑える活動を行いました。2019年には「内から涼しく」をテーマに地域の妖怪「かっぱ」をテーマとした怪談話を行い、新しい着眼点で熱中症予防を啓発しました。2020年は多治見の産業である美濃焼を活用し、「ひや盛り」という名称で料理を涼しげに盛り付けてSNSで発信する取組を行い、地域の方を巻き込むことを重視して活動を実施しました。
環境省事業と連携した取組
2021年、2022年は環境省が推進する「熱中症予防対策推進モデル事業」として、多治見市及び一般社団法人多治見市観光協会と連携して事業を展開しました。
(1)「#アツドラ」
「#アツドラ」(2)は、楽しみながら暑さ対策を学ぶことを目的に制作し、YouTubeで配信を行った自主制作のショートドラマです。ドラマは予告編と本編3編と、好評のため冬に制作したスピンオフの5本を配信しています。キャストには、実際に地域に暮らす方や高校の演劇部の生徒など一般の応募を中心に行い、ドラマとして起承転結がありつつ随所に暑さ対策を盛り込んでおり、各話の最後にはドラマ内で取り上げた暑さ対策を振り返るシーンを盛り込むなどの工夫をしています。このドラマの制作により、暑さ対策を日常的にどのように取り組めばよいかを明確にしながらも、単純な学びではない新しい視点から熱中症予防に着目してもらうことに成功しました。
また、同時期に「暑さ対策博覧会」として、高校生などが日常的にどのような暑さ対策を行っているかをパネルにして商店街の店舗前などに掲示することで、まちなかを訪れる人たちが自然と様々な暑さ対策を目にする機会をつくりました。これは先述したとおり、もともと暑いまちに暮らす多治見市民であれば日常的に行ってきた暑さ対策があるであろうとの予測に基づいて実施したもので、実際に様々な暑さ対策を発信する結果となりました。
そのほか、地域の情報誌に取材を依頼し、市内で活動する方(焼物業界の方や地域の部活動に励む学生など)の熱中症予防を記事として取り上げてもらうことなども行っています。
(2)「みえる化計画」
2021年度の活動を経て、2022年度にはさらに発展的な内容で活動を行いました。2021年度は、アナログ的に暑さ対策を展示することで、訪れた方に共有する方法をとりましたが、2022年度の活動では、できる限り地域の様々なコミュニティに届けるべくケーブルテレビ局と連携し、番組として熱中症対策を発信しました。また、市内のいわゆるクールスポット(単純な木陰を有する公園やクーリングシェルターになり得る施設など)を多治見市観光協会で管理する情報配信サイトにて発信する、地域のコミュニティラジオに夏の期間定期的に出演するなど、デジタルを意識した「みえる化」を図りました(3)。
自治体との連携も強化し、中心市街地活性化協議会において新たに「熱中症対策部会」を設置し、中心市街地における新たな取組の指針を策定することとなりました。これはすべて実施できたわけではありませんが、「びしょびしょ祭り」というタイの水かけまつりをモチーフとした企画を商店街内で実施し、現在でも毎年実施する行事となりました。
そのほかにも、多治見駅北の広場(虎渓用水広場)にて、「まなぶ!たのしむ!こけいサマーフェスタ」を実施しました。これは、夏休みの子どもたちをターゲットに実施した企画で、熱中症に関するパネル掲示やクイズラリー、小学生による熱中症予防のアイデアを募るコンテストを実施するなど「まなびと情報共有の場」として開催しました。
これらの活動の結果、熱中症の知識に関する用語等の「知っている割合」が98%以上(モデル事業参加店舗を対象に実施したアンケート)となるなど、熱中症予防に関する意識の向上につなげることができました。