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2025.05.26 政策研究

第62回 経営性(その2):行政経営

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行政経営品質

 日本生産性本部は、行政経営品質向上活動を提唱している(10)。同本部によれば、

 厳しい財政状況のもと、行政サービスはこれまでの「あれもこれも」の提供から、「あれかこれか」を選択することが求められています。しかし、その判断の基準は明確でしょうか。
 行政経営品質向上活動は、判断基準を「お客さま(市民)にとっての価値」に置き、それを「組織の目標・ビジョン」として明確にし、職員に浸透させることを通じて、職員の意識変革を実現するプログラムです。人件費、行政サービスの縮減を主な目的とした行政改革から、少ない財源で最大限の市民の満足を獲得するための考え方・方法論を提供します。
 自らの業務が市民の満足の向上に結びついているか、従来のサービスのあり方や考え方のどこに問題があるのか、「自らが気づき、改善する」ことが重要です。
 行政経営品質向上活動は、アセスメント(=組織診断)を通じて、①理想的な姿を設定し、そこから②現状を振り返り、③課題を見つけ、④戦略を策定し解決することを職員自身で実行します。その気づきを組織全体の改善・改革につなげ、行政サービスの質を高めて、市民の満足向上に結び付けていくことを目的としています。


 とある。このような場合には、上記のような特定の部課や機能ではなく、活動全般を指すことになる。
 また、滝沢市役所(滝沢村役場)は、行政経営品質向上活動をしてきた(11)。それによれば、

 「行政経営品質」とは、住民が評価する行政経営の仕組みのことであり、「行政経営品質向上活動」とは、住民が評価する行政のあり方といった観点から行政システム全体を抜本的に見直し、継続的な改善活動を通じて行政経営全体の品質を高めることによって、住民本位の行政への質的転換を実現することです。
 「行政経営品質向上活動プログラム」は、世界的な経営革新のデファクト・スタンダート(ママ)と言われる米国「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞」によるセルフアセスメント(自己評価)の考え方を範として、アジアや欧米をはじめ50ヵ国以上で実施されているグローバルな経営革新プログラムと同様のものです。
 行政経営品質の考え方を活用して、環境や社会の変化に即応しながら行政経営改革を実現する体質を作り上げるための一連のツールや施策を体系化したものです。滝沢村では、このプログラムを活用して住民本位の行政経営の実現をめざしています。

行政経営品質向上活動の必要性
 地方分権の推進を実践し、厳しい財政状況を乗り切るために、地方自治体は行政システム全体を抜本的に見直し、住民志向の経営体制を確立する必要がある。
 「行政経営品質向上活動」は、優れた民間企業を表彰する仕組みである「日本経営品質賞」の考え方と審査基準を基本にして作成する「滝沢村行政経営品質評価基準」に基づいて行政経営の品質を評価していく活動である。
 組織の目的は異なっても、一定の目的を達成するために組織をマネジメントする点においては共通項が多く、「日本経営品質賞」は自治体経営にとっても有効なツールとなることから、この活動をとおして、住民が求める価値を創出し、効率性、透明性を継続的に維持、強化するための経営の実現が可能になる。

行政経営品質で最も重視しているもの
 「滝沢村行政経営品質評価基準」では、施設・サービスのクオリティに限らず、行政のイメージや過去の経験から受けた影響さらには住民が他団体と比較して評価した行政活動全体を「クオリティ」としてとらえ、このクオリティの程度は、住民が判断するものとしている。
 住民が評価するクオリティとは、自らの存在価値をどう規定し、その中で独自性や優位性をいかに獲得するかという戦略概念である。
 これを明確にしその維持や強化を図るためにはまず既存の住民の要求・期待に対して謙虚にかつ鋭敏でなければならない。そして住民満足に影響を与える要素を明らかにし、すばやく柔軟性のある対応が求められる。一方、住民不満への対応も重要で、欠陥や誤りをいち早く除去し住民の信頼を回復することも非常に大切なことである。
 この行政経営品質で最も重視しているものは「住民の視点に立った経営を実現できるか」ということであり、これを実現するには「住民ニーズへの対応」と「競争力強化(独自性)」が不可欠である。
 住民が評価するもの、他団体との違いを示すものすべてを含むクオリティへの評価が、行政の存続に大きな影響を与えることになり、クオリティへの取組みが本村行政組織の盛衰を決める戦略の重要要素になる。

評価基準の考え方により評価することのメリット
・住民本位の行政が推進できる。
・村の活動を一人よがりの評価ではなく、本当に住民の視点で行っているか、住民の要
 望・期待をすばやく取り込んでいるか、他団体と比較して常に最善か、などの視点で
 見直すことを通して、村の組織を住民本位の優れた体質にするきっかけができる。
・全庁レベルの改善領域が明確になる。
・評価基準は、村の行政運営全般の領域を対象とすることができ、かつ具体的な活動を
 評価するため、自らが具体的に全庁レベルの強みをどのように強化し、また、どこを
 改善すればよいのかを明らかにすることができる。
・幹部の思いがどれだけ伝わっているかが検証できる。
・幹部が意図していることが、戦略の策定、施策の企画・実施、人材育成、住民との直
 接的なサービス提供などのすべての場所において浸透されているか、検証することが
 できる。
・継続的な改善の仕組みができる。
・自己評価を行うことにより、どこを改善することが適切かを発見することができる。
 改善の成果は、他の課室への取組みの気運を高め、さらに充実した改善に結びつける
 ことができる。
・現在の改善活動を包括して推進できる。
・現在行っている改善の活動を止めて新たに活動するものではなく、これまでの活動を
 包括的に評価することができる。

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