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2025.05.26 政策研究

第22回 「チーム議会」の必要性

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結び

 本稿では、自治体議員の皆さんが政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)における発言で、意識すべきものとして、「『チーム議会』の必要性」と、これらに関する事項等について考えてきました。そこでは、次のような含意と政策が抽出されたように思います。

  1. 議会には「適正な政策」を目指し、自らを活性化することが求められています。
  2. 議会活性化の視点からは、「チーム議会」の実現が期待されます。
  3. 名称を変えただけで従来の意識や行動が変わらなければ、名称変更の有効性は消滅します。
  4. 議会が「チーム議会」となるためには、議員と議会局職員との間に忌憚のない意見交換が必要です。議会には「チーム議会」という言葉が発せられた理由・背景を確認し、行動することが求められます。
  5. 議会局ないし議会局職員の役割は広がっています。「議会局」の業務の広がりは、「チーム議会」の必要性を高めることになります。
  6. 「チーム議会を妨げる要因」は、「形式主義」に基づくものと「現実主義」に基づくものに大別することができます。
  7. 「チーム議会を妨げる要因を克服するもの」は、「意識等」に基づくもの、「行動」に基づくもの、「制度」に基づくものに大別することができます。
  8. 議会局は何をすべきで、どこまでできるか、その内容からは、議会や議会局の役割が増大したこと、また議会局の必要性についての議員ないし議会局職員あるいは首長の認識が向上し増大したことが分かります。
  9. 「チーム議会」をつくり継続させるためには、議会局及び議会局職員の制度的保障が必要となります。この制度的保障は、議会の政策課題となります。
  10. 議会局及び議会局職員の制度的保障を議会基本条例の中に規定しておくことが効果的です。
  11. 「チーム議会」を達成するためには、議会局機能の外部化が必要であり有効です。
  12. 「広義のチーム議会」には、「狭義のチーム議会」のメンバーである議会の構成員(議員及び議会局職員)のほか、市民、民間部門、行政等のメンバーを含みます。
  13. 「チーム議会の外部化」に当たっても、ネットワークの広がりの大小が効果を左右することが少なくありません。
  14. 多様な主体が関わる「チーム議会の外部化」に際しては、特に、主体間で「優しいコミュニケーション」が求められてきます。
  15. 「優しいコミュニケーション」には「気づき」が大切であり、「自省利他」という考えが「優しいコミュニケーション」を考える際に手がかりとなります。
  16. 評価者である議長ないし議会局管理・監督職員には、「評価誤差」を認識した上で評価することが求められます。
  17. 議会・議員の適正な評価と育成だけでなく、“議会局及び議会局職員の適正な評価(組織評価と人事評価)と育成”をすることは大切であり、これらのことを通して議会は、「チーム議会」となりえます。


■参考文献
◇江藤俊昭(2017a)「議会事務局の新たな役割―議会との二人三脚による住民自治の進化・深化(上)」議員NAVI 2017年11月27日号
◇江藤俊昭(2017b)「議会事務局の新たな役割―議会との二人三脚による住民自治の進化・深化(下)」議員NAVI 2017年12月25日号
◇大森彌(2015)「議会事務局から議会局へ」議員NAVI 2015年8月25日号
◇辻陽(2019)『日本の地方議会 都市のジレンマ、消滅危機の町村』中央公論新社
◇内閣官房(2022)「人事評価ガイド《評価者・調整者の手続編》(2022.06 ver.)」(https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/r0406_hyoukasya_tyouseisya_tetsuduki.pdf〔2025年5月9日確認〕)
◇村田和代(2023)『優しいコミュニケーション―「思いやり」の言語学』岩波書店

 

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