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2025.05.26 政策研究

第22回 「チーム議会」の必要性

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

 本稿では、「『チーム議会』の必要性」と、これらに関する事項について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。なお、議会改革の方向性については、「外からの」大規模自治体・選挙制度改革や、「外からの」小規模自治体・執政制度改革の議論(例えば、辻(2019:5章))もありますが、本稿では主に「内からの」全自治体・議会活性化の視点から論を進めます。「内からの」全自治体・議会活性化の視点は、全ての自治体議会にとって有益な議会強化論です。

求められる「適正な政策」と「チーム議会を実現するための過程」

 自治体政府の機関である議会と行政(首長をはじめとする執行機関)、及びこれらの補助組織である議会(事務)局職員(以下「議会局職員」といいます)と執行部職員は、「市民のための適正な政策」をつくることが求められています。ここでいう「政策」とは、課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価という政策過程の全てを意味します。また、「適正な」と形容するのは、市民に(悪い意味で)忖度(そんたく)する「甘すぎる政策」では、将来の人々に財政的負担を先送りしたり、インフラの改修費に回る使用料や税の負担を課すことを回避し、上下水道の陥没事故が生じるような問題を起こしてしまうからです。また、杓子(しゃくし)定規のような窓口対応をしたり、市民個々の置かれた状況について配慮しない「厳しすぎる政策」でも、市民にとって身近な政府である自治体の存在意義は消滅してしまうからです。
 このように、「甘すぎる政策」も「厳しすぎる政策」も問題を抱えています。市民のためにも議会・議員のためにもなりません。議会には「適正な政策」を目指し、自らを活性化することが求められています。議会活性化の視点については、表1のように分類することができます。議会活性化の視点からは、「チーム議会」の実現が期待されます。
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出典:筆者作成
表1 「議会活性化の視点の分類」と、その「内容・項目」と、「チーム議会」の関係

 表1で示した議会活性化の内容が強化されると、「チーム議会」の実現に近づきます。「チーム議会」とは、「議員と議会局職員のチーム」です(狭義の「チーム議会」)。なお、「議会事務局」から「議会局」への呼称変更の意義に関して、大森彌は、「一般には、組織名の変更は、その組織に属するメンバーの一体感や使命感に影響を与えうる」としています。そして、「議会事務局」の職員であることと「議会局」の職員であることとでは何が異なるのかについては、従事すべき「議会に関する事務」をどう理解するかによると述べています(大森 2015:1)。
 このことは、「議会局」への名称変更の有効性を認めるとともに、名称を変えただけで従来の意識や行動が変わらなければ、名称変更の有効性は消滅することを示しているといえます。例えば、議会が「チーム議会」となるためには、議員と議会局職員との間に忌憚(きたん)のない意見交換が必要です。図1に示すように、先に気づいた「個々の議員」から「他の議員」ないし「議会局職員」へ、あるいは先に気づいた「個々の議会局職員」から「他の議会局職員」ないし「議員」へ、伝えることが必要になります。ただし、伝えたとしても、一足飛びに「チーム議会」となることは容易ではありません。なぜなら、「チーム議会」を実現するためには、本稿においても検討していくような条件の克服が必要になるからです(図1参照)。
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出典:筆者作成
図1 チーム議会を実現するための過程

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