2025.04.25 New! 政策研究
第61回 経営性(その1):行政管理
官房・総務系の事例~東京都庁の場合~
通時的(超時間的)あるいは通地的(超空間的)に、統一的に存在する官房・総務系機能は存在しないかもしれない。それは、組織全体にとって、あるいは、組織の最高責任者にとって、より重要な機能は、状況によって変わるからである。もちろん、そのように状況依存的に理解すれば、一般的な官房・総務系の機能はあり得ないかもしれない。
実際、例えば、経営者の機能として全ての組織に共通する要因を探ったバーナード理論では、組織の3要素は、「コミュニケーション」、「共通目的」、「貢献意欲」であるから、経営者にとって必要な官房・総務系機能は、この3要素を満たすものであればよい。それは理論的・抽象的であり、組織のそれぞれの状況によって具体的には変わるだろう。あえていえば、共通目的は企画、貢献意欲は人事に近いかもしれないが、コミュニケーションはPOSDCoRBのほぼ全てに該当するからである。
そこで、最大限の可能性として、官房・総務系の機能の候補群として、あり得る機能を想定することはできよう。もちろん、現実の人間や組織の能力は限界があるから、想定外の機能が本当は求められているのかもしれない。とはいえ、可視化された可能性としては、最大規模の組織から、推測する手があろう。その意味で、東京都庁の官房・総務系の機能を、現代日本の自治体における官房・総務系の最大可能性(和集合)と見なしてみよう(図2)(3)。
出典:東京都ウェブサイト(https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/soumu/00kikouzu)より改変
図2 東京都庁組織機構図
東京都庁の官房・総務系は、通時的には様々変遷がありつつも、局レベルではおおむね「伝統」的には、企画、総務、財務の3局体制で整理されてきた。現在の名称は、政策企画局、総務局、財務局である。現在、デジタルサービス局が設置されているのは、まさに上述のとおり、DXの比重が都庁組織全体又は知事にとって重要になってきたことを反映している。東京都庁は、局─部─課体制であるので、どのレベルまで機能を分化してみるかにもよるが、とりあえず上記3局を部レベルまで見るとすると、以下のような機能に分解される。
① 政策
② 戦略広報
③ 計画調整
④ 外務
⑤ 復興支援対策
⑥ 人事
⑦ コンプライアンス推進
⑧ 行政(*部の名称で分かりにくいが、課レベルの名称から区政、市町村、島しょを含む振興ということ)
⑨ 総合防災
⑩ 統計
⑪ 人権
⑫ 経理
⑬ 主計
⑭ 財産運用
⑮ 建築保全
である。