2025.04.25 New! 政策研究
第61回 経営性(その1):行政管理
もちろん、いわゆる所管系部署も、市長の補助機関であり、市長の政策判断を支援するのが本来の役割である。その意味で、所管系の部署も、特定の所管する政策領域担当の部組織全体として、市長あるいは組織全体を支援している。あるいは、市長からの指揮監督を受ける立場にあるし、司司(つかさつかさ)という意味では、市長に報告し、市長が出すべき指示の案を上申・稟議する立場であり、POSDCoRBのうちのRやDを果たしているように見える。しかし、本来のPOSDCoRBとは、むしろ、これらの補助機関である各部から上申された報告や原案・起案に対して、市長が指示又は承認を与えるときの意思決定の支援機能である。その意味では、所管系部署は、こうした意味での行政管理の機能はない。あえていえば、両副市長や、市長公室に配置されている技監・調整監に、そのような役割が期待されていよう。
立川市役所の官房・総務機能を、部室レベルではなく、課レベルで見ると、以下のような16の課レベルの機能、さらに多数の係レベルの機能があることが分かる。
① 秘書
② 広報プロモーション
③ 改革推進 *政策調整、行革推進、デジタル改革推進
④ 公共施設マネジメント
⑤ 企画政策 *企画政策、総合戦略、連携推進、統計、基地対策
⑥ 財政
⑦ 契約
⑧ 男女平等推進
⑨ 総務文書 *文書、法政、情報公開、執務環境調整
⑩ 人事
⑪ 情報システム
⑫ 品質管理
⑬ 施設
⑭ 危機管理
⑮ 防災
⑯ コンプライアンス推進
これらが全て官房・総務系といえるかについては、結局、トップが組織全体を行政管理する際に、特に補佐機能を必要とするか否か、に左右されるので、一般的・客観的に決まるわけではない。つまり、市長が何を重視し、何を各部署の司司に任せるか、そして、そのような判断を促すような環境要因が何であるか、などとの相対関係であろう。この点から逆にいえば、アメリカ正統派行政学でPOSDCoRBに焦点が当たったのは、その当時の状況の関数であり、必ずしも、通時的・通地的に成立するとは限らないだろう。
とはいえ、一般的には、財政・人事はいかなるときにも、トップ又は組織全体にとって重要であろう。それゆえに、財政・人事は、ほぼ常に官房・総務系といえる。近年のように、公共施設の再編やデジタル改革が市政にとって大きな課題になれば、官房・総務系の色彩が強まり、立川市役所でいえば、市長公室で市長直属になっている。もちろん、施設や情報システム(古い言葉でいえば機械化・電算化・情報化・電子化・IT化など)は、近年に特に重要になったわけではなく、ほぼ一貫して重要な課題であり続けてきた。それゆえ、行政管理部にも情報システム課・施設課が置かれている。つまり、それは、文書、法政(一般的には法務・法制・法規)、人事などと横並びの「伝統」的な総務系機能でもある。