2025.04.25 New! 政策研究
第21回 政治と議会・議員
政治家には市民との共通体験があると地域の実情が分かりやすい、豊かな社会を築くためには相互学習を共通体験する
政治家には、市民との共通体験があると、地域の実情が分かりやすくなります。このことは、一人の議員だけではなく、議員の多くが力を合わせ課題に取り組むことにつながります。相互学習(講座、研修、視察)も共通体験の一つとなります。共通体験が豊かな社会では、計画的状況把握力と評価力が高まるので、議員にとっても市民との豊かな議論(話し合い)につながります。豊かな社会を築くためには、まず相互学習を共通体験することが一つの方法です。
このことは、議会の内部においても当てはまります。議会は議員の「大量卒業」による運動の断絶という限界点を持ち、議長等の有能なリーダーの引退という限界を持っています。これらのことは、議会内(議員間ないし議員・議会(事務局)職員間)の共通体験が薄れてしまうことを意味しています。そこでは、議員の「大量卒業」や有能なリーダーが引退しても、議会は十分な機能を発揮できるような力を組織全体で蓄えていることが必要です。蓄えていない場合には、当然のこととして、その議会の市民から見た評価は下がることになります。議会には、このようなことを予測し、若手議員に積極的に機会を与え経験を積ませるなどの対応策を講じておくことが求められます。
なお、共通体験の必要性については、議会(事務局)職員同士の間でも同じことがいえます。
求められる「いとおしむこと」、「議会力」と「議員力」は相互関係、「議会力」と「議員力」のレベルダウンを防ぐには
喜怒哀楽が行き交う社会においては、人の一生においても喜怒哀楽が行き交います。ときには、「この世は苦渋に満ちている(=この地域は混乱している)」と考えてしまうこともあるでしょう。このことは、議員や首長にとっても同じです。
そのような事態から脱出するためには、「終わらない夜はない」ことを期待して、「美しい花が咲いてほしいなら、毎日、花をいとおしむことが必要」なように、「いとしい地域を持続可能にしたいなら、毎日、地域をいとおしむことが必要」です。ここで「いとおしむこと」の「こと」とは、「考える・話し合う・行動する」という意味です。
ところで、「議会力」と「議員力」の関係は、一方がレベルアップすれば他方もレベルアップするという関係にあります。「政治」と「政治家」の関係も、一方がレベルアップすれば他方もレベルアップするという関係にあります。また、「議会力」と「議員力」の関係も、「政治」と「政治家」の関係も、一方がレベルダウンすれば他方もレベルダウンするという関係にあります。
信頼を得るにはある程度の時間がかかるのに対し、信頼を失うのは「あっ」という間です。レベルダウンを避けるためには、二つのことが重要です。一つは、自治体機構(議会・行政)を自律(相互)制御するとともに、市民等による他律制御の仕組みをつくり実践することです。いま一つは、総合計画の有用性を認識し活用することです。総合計画を活用することにより、政策問題及び「政策問題の複雑性(全体性、相反性、主観性、動態性)」の発見と対応策の検討が速やかにできることになります。圧力や(悪い意味での)忖度という望ましくない政治力学により、市民のためにあるはずの政策の適正な選択肢が消えてはなりません。