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2025.04.25 New! 政策研究

第21回 政治と議会・議員

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「政党」と「厳格な二大政党(制)」の問題と、「制度」「組織」を見直すことの必要性

 政党には、政府の政策決定を効率的に進められることや、安定した政策運営が可能となること等、民主主義において重要な役割を果たすという長所があります。しかし、政党は、選挙で勝つことに重きを置きがちなことから、短期的な人気取り政策に焦点を当て、長期的な利益(政策)を見逃すという短所もあります。
 また、「厳格な二大政党制」への誘導にも問題があります。例えば、人のニーズは多様であり、一人の人生の中においてもニーズは変わるのが普通ではないでしょうか。したがって、人の気持ち・ニーズは多様に分散しています。このことを前提とすれば、(少なくとも一定程度は)多様な政党の存在が求められます。したがって、「厳格な二大政党制」への誘導には問題があることになります。
 さらに、「厳格な二大政党」という政党自体の問題があります。政党は市民のために存在することが、永続性のある政党になるための前提となります。したがって、市民ニーズの変容に合わせて、政党の推進・促進する政策が変容することが必要となります。しかし、組織である政党、特に大政党には、それまでの「(悪い意味での)慣性」が働くことから、政策を転換するためには、時間を要してしまうことになりがちです。これが、「厳格な二大政党」の問題です。政党の「(悪い意味での)慣性」は、圧力、忖度(そんたく)、依存、排他等を伴い、かつそれらの特質は往々にして潜在化の傾向があることから、顕在化したときには問題が大きくなっていることが予測されます。
 このような「政党」と「厳格な二大政党制」「厳格な二大政党」の問題を解決するためには、完璧で永続的な制度はありえないと考えることが大切です。そして、一定の期間ごとに、あるいは社会(ニーズ)の変容に合わせて「制度」「組織」を見直す必要があります。

期待される「政治全体のパフォーマンスを上げる選挙と政策」、民意における「集約と反映」の両立困難性、内省と試行錯誤を繰り返しながら思慮深く考え行動する

 選挙は、多くの費用・時間・人を必要とすることもあり、選挙により政治全体のパフォーマンスが上がることが期待されています。政治全体のパフォーマンスが上がることの中核には、何といっても政策のレベルアップがあります。しかしながら、政治が政策のレベルアップに重点を置かず、いわゆる政策を無視した合従連衡だけの政局に置かれてしまうと、政治のパフォーマンスは国においても・自治体においても下がってしまうことになります。
 皆さんも、「少数意見の排除」や「失われた多様性」という言葉を聞くことがあるのではないでしょうか。通常、民主主義に基づく決定では多数決によりますが(「くじ引き」等もある)、このような言葉は、多数決により決定が「多数者の専制」になることを、私たちに注意喚起させるものでもあります。このことは、民意における「集約と反映」の両立困難性を表しているといえます。
 前述したように、完璧な制度はありません。選挙制度改革や政治資金改革においても同じことがいえるでしょう。これらの改革は1回やれば終わりというわけではありません。あまりにも頻繫に行うことは弊害もあるでしょうが、常に改革の目を忘れずに、定期的に見直しを行い、必要があれば変革することが重要です。そこには前提として、議会そして議員には内省と試行錯誤を繰り返しながら思慮深く考え行動することが求められています。

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