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2025.04.10 まちづくり・地域づくり

第4回 お焚き上げ

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建替えの準備をする

 大田原市長の就任は、2010年4月8日であった。公会計研究所の吉田寛教授(千葉商科大学大学院)に大田原市の会計報告の作成を依頼した。2012年11月15日に受け取った貸借対照表は黄色い表紙で、2010年3月31日のものであった。私が就任した時点の財政状態とし、就任8日前のものである。表紙を黄色にしたのは、この時点の「将来の税金」を基準にするということで、次の会計報告で「将来の税金」を減らしていれば青表紙、「将来の税金」を増やしていれば赤表紙にするという説明であった。表紙の色を見れば財政状態を良くしたのか悪くしたのかがすぐに分かる。良いアイデアだと思った。
 それから1か月ほどした2012年12月21日に、2010年度末(2011年3月31日)現在の貸借対照表を受け取った。
 私も経営者なので、貸借対照表の見方は分かる。基準年度の数字は青色で、報告年度は黒字で書いてあるが、会社の会計では見かけない更新引当金という勘定科目がある。聞いてみると、総務省方式の減価償却累計額の金額を、市長の貸借対照表で更新引当金として表示しているのだという。市民に提供したならば、公共財の価値を下げるようなことを首長がやるわけにはいかない。そして、耐用年数が過ぎて使えなくなったならば、建替えの準備をしなければならない。そのために引当てをしておくのが、この勘定科目だという説明であった。
 私は、これはちょっと変だなと思った。公共財は市民の利用に供するためにつくる。公会計研究所は建物を市民のものとして「市民の貸借対照表」に取得価額で提供する。市長の責任は更新に備えるというよりも、定期的な修繕を計画し、それを引き当てた方がよいのではないかと話をした。それは「良いアイデアですね」と吉田教授はいったが、「でも、その計画をつくるのは市長ですよ」といわれた。ファシリティーマネジメントを作るのは「市長ですよ」と言われても、その後は、財政課とか管財課に仕事を振ることになる。担当職員は東日本大震災の復旧に火の車の忙しさだ。これ以上の仕事を職員に頼むのは気の毒だと思い、この問題は、しばらくお預けとすることにした。

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