地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2025.03.25 政策研究

第60回 組織性(その6):目的なき組織

LINEで送る

相互連結行動(interlocked behaviors)

 世間的にいわゆる組織と見られる状態においては、「2人以上の人間の間の相互連結(interlocked)した個人行動」である「相互連結行動(interlocked behaviors)」がある。二者間に因果関係があれば、ある人Xの行動に依存(dependent)して他者Yの行動が決まるので、「行際(interacts)」(行為関係性、直訳すると「相互作用」、日常用語での「作用」)がある。さらに、他者Yの行動によってある人Xの行動が変われば、「二重行際(double interacts)」(直訳すると「二重相互作用」、日常用語での「相互作用」、「作用反作用」)がある。いわゆる組織において重要なのは、後者の二重行際があるときである。このようなときに相互連結行動が再生産されるからである。二重行際は、「相互連結行動サイクル(interlocked behaviors cycle)」ともいわれる。
 相互連結行動サイクルの集積が、いわゆる世間的な意味での組織になるように見える。相互連結行動サイクルは、目的ではなくて、手段に基づいて収斂(しゅうれん)していく。相互連結行動サイクルの安定においては、目的の共有がなくても、他者の動機を知らなくても、他者が誰かを知らなくても、相互予測があれば充分である。それゆえに、相互連結行動サイクルは、多様な目的に利用可能である。したがって、相互連結行動サイクルを集積させて組み合わせるときにも、目的の共有は必要ない。
 自治体が、特段の共通目的がなくても、組織として成立するのは、相互連結行動サイクルが成立しているからである。自治体においては、上司と中間管理者と部下、部下同士、部署間、理事者層と一般職層などの間で、事務分掌や決裁手続などの官僚制の整備によって、一定の相互予測が成り立つ。あるいは、民間事業者や住民との間で、法令条例や契約あるいは慣行などによって、相互予測が成り立っている。個々の職員は、組織均衡論に立てば、自らが自治体組織に加わって貢献をするのは、一定の誘因が満たされるからであるが、それは組織目的とは全く関係なくてもよい。それぞれの相互連結行動サイクルに、目的がなくてもよいし、目的が設定されてもよい。相互連結行動サイクルを組み立てるときにも、共通目的がなくてもよいし、共通目的があってもよい。実際、自治体の職員は、一体何のために行動しているのか、自他ともに、よく分からないことが普通である。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 616

新潟地震(震度6)起こる(昭和39年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る