2025.03.25 政策研究
第20回 「メディア」「世論」「情報」「データ」と議会(議員)
相関関係と因果関係、ロジックモデル、「e-Stat」や「jSTAT」
データ分析では、相関関係や因果関係という言葉を使うことがあります。「相関関係」は、二つの事柄が関わり合う関係のことです。一方の数値が増加すると、もう一方の数値が増加又は減少する関係のことです。例えば、降雨量が多ければ湿度が上がり、降雨量が少なければ湿度が下がります。このように、一方が増えるともう一方も増える状態を正の相関関係といいます。逆に、地球全体の気温が上がれば、氷河の氷の量は減ります。このように、一方が増えるともう一方が減少する状態を負の相関関係といいます。
相関関係に関連する言葉に「相関係数」という用語があります。相関係数は、「2種類のデータ間の関連性(相関関係)の強さを示す指標」です。-1から1までの値をとります。相関係数が1に近いほど正の相関が強く、-1に近いほど負の相関が強く、0に近いほど相関が弱いことを意味します。
「因果関係」は、例えば、Aを原因としてBが変動することを表す関係のことです。因果関係といえるためには、原因であるAが、変動したBよりも先に起こっていることが条件となります。Aが起きたからBが変動したのか、Bが起きたからAが変動したのか、見分けることが重要です。相関関係があるからといって、必ずしも因果関係があるわけではありません。
正しい因果関係を見つけ出すには、相関関係にある二つの要素以外にも関わる要素がないかを考えること、いわゆる「見かけの要因」をチェックすることが求められます。また、調査に見合った、属性(例えば、性・年齢・地域・職業・階層等)の偏っていない十分なサンプルを用意することが必要です。その上でデータを分析し、因果関係を検証することになります。因果関係があるか否かについての仮説づくりは、ロジックモデル(活動が成果につながるまでの因果関係を論理的に図式化したもの)で行うことができます。
また、フリーで使えるオープンデータに、「e-Stat」や「jSTAT」があります。ここでは、「e-Stat」や「jSTAT」の内容には触れませんが、比較的容易に使用できるのではないでしょうか。分からないときには、議会事務局の職員や、場合によっては執行部の職員の協力を得ることも大切です。ただし、どういう目的で、どのようなデータが必要であるのかが、明確でなければなりません。
議員に求められる「情報やデータ(以下、情報という)」)の取扱い
議員には、事実を共有した上で(図3の場合であれば情報Aと情報Bを共有した上で)、意見を調整し、政策を決定することが求められます。なお、情報Cや情報Dについては、情報Aと情報Bと照らし合わせることにより、情報が事実か否かを確認することになります。なお、情報Cと情報Dの間の照らし合わせでは、事実か否かを確認することはできません。このようにして、情報が整序され、適正な決定が行われることになります。もちろん、これらのことは、個々の議員だけではなく各会派や議会にも当てはまります。
出典:筆者作成
図3 議員に求められる情報の取扱い