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2025.03.25 政策研究

第20回 「メディア」「世論」「情報」「データ」と議会(議員)

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自主規制の限界とそれがもたらすもの

 メディアには、自らのあるいは自分たちの行為を制御するため、自主規制という制御の方法があります。自主規制には、信頼性の向上・法令遵守の促進・違反リスクの軽減・イメージの向上・問題の早期発見・迅速な対処・業界全体の健全化・急変に対する適応可能性・社会的責任の遂行などのメリットがあります。しかしながら、コスト負担・競争力の低下・不透明な基準(自主規制の基準が明確でない場合、不公平な取扱いや混乱が生じることがある)・業界全体の協力が必要・法的拘束力の欠如・自主規制の甘さなどのデメリットがあります。
 これらのことからも分かるように、メディアにおいて自主規制は、メリットがあるものの「内部による制御」であり、「不十分な制御」であり混乱をもたらす可能性があります。堤未果は、圧力と忖度(そんたく)、そこから生まれる自主規制が既存メディアへの不信感を高め、ネットの普及で拡大した情報の洪水の中、もはやフェイクニュースとそうでないものの区別がつけられないという悲鳴が、世界のあちこちから聞こえてくると述べています(堤 2019:4)。このことは、AIの進歩が著しい今日、ますます様々な分野で起きてくるでしょう。改めて、私たちには望まれる自主規制のあり方を考えることが求められます。

ジャーナリストに求められる目とその目を壊すもの

 ある職業の人をマスコミが批判するとき、「すべての(ある職業の)人が、こうではなく、まじめな人がほとんどです」と付け加えることが少なくありません。しかし、そのことは妥当といえるでしょうか。なぜなら、そこには(ある職業の)人の属性である勤務先企業や経営者ないし労働者の体質や構造欠陥、さらには(ある職業の)人の出自や家庭環境等に問題があるのではないかという視点を消してしまうからです。本来、マスコミないしジャーナリストには、問題を構造的に明らかにし、社会と共有することが求められているはずです。もし、「すべての(ある職業の)人が、こうではなく、まじめな人がほとんどです」と付け加えるとするならば、問題の背景にある構造を併せて指摘する必要があります。
 なお、松下圭一は「私の仕事」の中で、マスコミについて次のように述べています。「最近、2世、3世がふえて幼稚化しがちな政治家、官僚、経営者、また同調する学者、記者といった『政官業学+マスコミ』には、あらためて、経験に深くささえられた〈市民良識〉を対抗させたい」(松下 2015:21)と。私たちは、このことを深く心に刻み、ジャーナリストやマスコミを見ていくことが大切です。

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