2025.03.10 議会運営
第97回 100条委員会における調査
100条調査の目的は、地方公共団体として調査の対象となった事件等の再発防止及び行政の適正執行をするにはどうすればよいのかについて調査することであり、警察の捜査のように犯人を検挙・告発することを目的とするものではない。
100条調査を行う理由としては、①参考人を招致して発言を求めたり、強制力を伴わない記録の提出を求めるだけでは調査事項の実態を把握することが困難であると考えること、②長と議会(議会内での会派)の対立の中で政争の一つの手段として用いられること、③住民の関心の高い事件であること、④地方公共団体における不祥事の再発防止のためにその原因を探ること等が挙げられる。
100条調査権の法的性質としては、①憲法41条の国権の最高機関性に基づき、国権を統治するための司法権等にも調査権限が及ぶ独立の権能を指す独立権能説、②議院が保持する諸権能を実効的に行使するために認められた司法権等には調査権限は及ばない(国会の国政調査権・昭和24年5月20日の最高裁判所の参議院への申入書)補助的権能を指す補助権能説があるが、一般的には補助権能説であると解されている。
100条調査は、一般的に設置した特別委員会に100条調査権を委任し、調査を行っていくこととなるが、100条調査において委員会を秘密会又は非公開とすることも可能である。
秘密会については、標準市議会委員会条例(以下「委員会条例」という)20条で委員会の議決で秘密会とすることができ、委員会を秘密会とする場合は、委員長又は委員の発議によって討論を用いないで委員会に諮り決定することとしている。
【委員会条例20条】
① 委員会は、その議決で秘密会とすることができる。
② 委員会を秘密会とする委員長又は委員の発議については、討論を用いないで委員会に諮つて決める。
なお、100条委員会における非公開は、委員会条例19条で傍聴者に対し委員長が傍聴を許可しないこととして委員会を公開しないことをいう。
【委員会条例19条】
① 委員会は、議員のほか、委員長の許可を得た者が傍聴することができる。
② 委員長は、必要があると認めるときは、傍聴人の退場を命ずることができる。