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2025.02.25 政策研究

第59回 組織性(その5):組織境界

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之

はじめに

 自治体は組織であるから、組織である範囲と、組織ではない範囲とを区別する境界が存在するだろう。実際、区域に関しては、明確な境界を画定するのが基本である。もっとも、区域とは、自治体という組織が管轄する、あるいは、活動を及ぼす環境の範囲──「縄張り」ともいえる──の境界であり、組織そのものの境界ではないかもしれない。とすると、自治体という組織には別の境界があろう。
 もちろん、組織の境界が「縄」のような「線」として、断然と組織内外を峻別(しゅんべつ)するものとは限らない。「帯」のように、徐々に組織ではなくなっていくこともあろう。自治体の環境に関していえば、区域は明確な線で画定されるが、様々な圏域──通勤・通学・通院圏、商圏、流域圏など、これも広い意味での「縄張り」──は「帯」で徐々に遷移していくだろう。組織としての境界も、線ではなく帯あるいは遷移帯かもしれない。そして、このような境界を前提にすれば、様々な圏域が、当該組織にも専属するとは限らない。二つ以上の組織にとっての圏域を兼ねることもあろう。
 さらに厄介なことは、組織を資源循環の観点で理解するならば、組織は基本的には開放系である。つまり、資源は組織内外を対流している。であるならば、組織の外界に行った資源も、組織と無関係ではないどころか、組織そのもののようにも見える。組織外部でも、資源が循環しないような本当の外界と、資源が対流する密接な周界とがあろう。例えば、上記のような様々な圏域は、資源が対流する意味では、本当の外界ではなく、密接な周界である。

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