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2025.02.25 政策研究

第19回 一般質問の作法とチェックポイント②「一般質問前のチェックポイント、一般質問(時)のチェックポイント、一般質問後のチェックポイント」

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

 本稿では、一般質問の作法とチェックポイントのうち、「一般質問前のチェックポイント、一般質問(時)のチェックポイント、一般質問後のチェックポイント」と、これらに関する事項等について考えます。

一般質問前のチェックポイント5!

 一般質問をするためには、準備が必要です。ここでは、「一般質問のテーマ探し(=一般質問のアジェンダ設定順位をどう決めるか)」「能力を活かして一般質問の準備をする」「期限までに⼀般質問通告書を明解な⽂章で作成し提出する」「ヒアリング(すり合わせ)の確認事項」「なるべく一問一答で行う(一問一答に決める)」の5項目について考えます。

【一般質問前のチェックポイント①】一般質問のテーマ探し(=一般質問のアジェンダ設定順位をどう決めるか)
 有効な一般質問を行うためには、適切なステップ(段取り)を踏むことが大切です。土山希美枝は、このことについて「質問のテーマ探し→質問を根拠付ける調査→質問の構成作成→答弁を引き出すための調整→一般質問の本番→その後のフォロー」というステップの必要性を示しています。一般質問に当たっては、このようなステップを踏まえることが求められます。なぜなら、いきなり質問をつくっても、既に決着していてその後も自治体を取り巻く環境が変わっていなかったり、当該自治体(地域社会)にとって優先度が低い(=ほかに優先度の高いアジェンダがある)ため、行政として対応しない(=できない)こととなり、結局は質問者が期待していた答弁(=有意義な議論)は得られなくなるからです。
 一般質問のテーマを探すには、まず、議員が議員になったときの思いを再確認し、当該自治体の一般質問の機会に活用できる事項があるかを整理することが大切です。次に、困っている人(=弱者)の困りごとを探ることもよいでしょう。そもそも政府(自治体(地方政府)、国(中央政府))の機能として、弱者救済があるのですから。さらに、当該自治体と近隣自治体をはじめとする全国自治体との比較をし、我が自治体の政策水準の現状と理由を問い、さらにこれからの方向性を問うことです。必要となる政策資源(人員・財源(予算))についても問うことが求められます。加えて、自治体で策定する計画や重要な政策(施策・事業)がある場合には、計画や事業の早い段階から一般質問をすることが重要です。計画や事業の決定間際になっては、執行部側にとっても期限や経費の問題から既存の方向を変更しにくい意識が働きやすいからです。
 このような一般質問、議員活動をし、当該議会の他議員や他議会の議員の一般質問、議員活動を真摯な心で見ることにより、おのずから一般質問のテーマ探し(=一般質問のアジェンダ設定順位をどう決めるか)が成り立つのではないでしょうか。

【一般質問前のチェックポイント②】能力を活かして一般質問の準備をする
 一般質問をつくるには、土山がいうように議員の「情報収集能力」「争点化能力」「説明説得能力」が求められます。この「質問力」が伸びることは議会での活動にも効果的で、議会の人的資源開発ともなるといえます(土山 2015:2)。そのためには、議員が市民と話し合うことが必要であり、そのことを通して議員の「情報収集能力」「争点化能力」「説明説得能力」を高め磨き・活かすことが大切になります。
 また、一般質問の答弁は公式見解です。したがって、首長答弁・部長(部制の場合)答弁のいかんを問わず、議員が担当者ではなく質問内容の業務を主管する部長(=答弁する部長)に直接確認することが必要です。場合によっては、首長の意向を直接確認することも必要です。そこには、適切な質問を行い答弁を引き出すための「見極め能力」が求められ、それを磨き・活かすことが大切になります。
 議員には、議員が持っている能力を活かして一般質問の準備をすることが求められます。

【一般質問前のチェックポイント③】期限までに⼀般質問通告書を明解な文章で作成し提出する
 ⼀般質問通告書を締切⽇までに明解な⽂章で作成し提出することが⼤切です。通告書にも⼗分な事前準備をしましょうということです。⾃治体によっては、答弁要旨の作成期間が2⽇程度で、その翌⽇から⾸⻑との答弁調整という⽇程が組まれることも少なくありません。何を質問しているのかが分からないような通告書では、期待した答弁を得られないことは当然のことと認識しなければなりません。
 なお、通告書を提出する前に執⾏部に対して、「次の議会では○○のテーマについて、□□の視点から⼀般質問を予定している」と情報提供しておくことが望ましいでしょう。個⼈、会派、委員会等での視察や研修の機会の後には、研修資料に⾃分の⾒解を添えて執⾏部と情報共有することが期待されます。繰り返しますが、一般質問は、議会と執行部の勝ち負けの場ではなく、市民のための議論(話し合い)の場であることを忘れてはなりません。

【一般質問前のチェックポイント④】ヒアリング(すり合わせ)の確認事項
 一般質問前のヒアリング(すり合わせ)では、改めて質問者の考え方や信念等について確認しておくことが必要です。確認すべき事項には表1のようなものがあります。ここでは69項目を挙げていますが、議員自身で項目を追加することも重要です。もちろん、答弁者の信念等が所信表明や施政方針によってあらかじめ分かっている場合には、確認する項目が少なくなります。
 

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