2025.02.10 議会改革
【セミナーレポート】「政策サイクル推進地方議会フォーラム」ミライの議員・議会のために 第2弾!! コミュニティと「地方議会からの政策サイクル」公開セミナー
2025年2月2日(日)、公益財団法人日本生産性本部にて、「政策サイクル推進地方議会フォーラム」ミライの議員・議会のために 第2弾!! コミュニティと「地方議会からの政策サイクル」公開セミナーが開催されました。前回(2024年2月)に引き続き、議員のなり手や政策形成に密接にかかわるコミュニティのあり方や活性化、ミライの地方議会・議員のあり方、両者の関係などを展望する内容となったセミナーの様子をレポートします。
講演:「バックキャスティングによる地方議会からの政策サイクル―到達点ともう一歩―」
はじめに江藤 俊昭 氏(大正大学地域創生学部公共政策学科教授)より、これまでの議会改革の振り返りを行い、「バックキャスティングによる地方議会からの政策サイクル―到達点ともう一歩―」と題した講演が行われました。議会からの政策サイクルをそれぞれの段階ごとに解説しつつ、議案審査の重要性やバージョンアップの必要性、またコミュニティと議会の今日までの状況から政策サイクルの課題整理を行いました。
講演:「コミュニティ自治の変容とミライの地方議会・地方議員~コミュニティを議会からの政策サイクルへ!~」
次に大杉 覚 氏(東京都立大学法学部教授)より、「コミュニティ自治の変容とミライの地方議会・地方議員~コミュニティを議会からの政策サイクルへ!~」と題した講演がありました。コロナ禍の影響によるコミュニティ活動の消極化・担い手不足の加速といったコミュニティ自治を取り巻く難題を整理しつつ、人口減少や少子高齢化、住民意識の低下などを言い逃れにせず、「人材の好循環」が目詰まりで阻害されている問題状況を直視すべきと確認し、コミュニティ自治の構造転換の重要性を解説しました。最後にコミュニティと議会は「合わせ鏡」の関係であり、両者を政策・人材の両面から接続することが重要であると主張されました。
実践報告:コミュニティと議会の関係 -その現在地と展望
上條 雅典 氏(長野県宮田村役場 議会事務局長)からは、住民参加で策定した「むらづくり基本条例」や住民参加の取組み等について実践報告がありました。宮田村では住民・行政・議会の3者で基本条例を策定しており、むらづくりにおける村民・議会・行政の役割を明確化し、村民のむらづくりに参加する仕組みを整えたこと、また条例・諸制度について検証を実施(例えば、前回の検証では住民参加が足りていないという意見が出て、住民参加の推進条例を制定したこと等)していることを解説しました。
他にも、むらびと会議・なんでも相談室といった様々な口を用意することで住民参加を多チャンネル化し、住民と議会の距離がより近くなるような取組みについてご紹介いただき、ご自身の行政側の経験などから、評価するための評価にならないよう、作り上げたシステムを発展的な方向に向けなければいけないと語りました。
次に、林 晴信 氏(兵庫県西脇市議会議員)からは、「議会は住民自治のプラットフォーム―コミュニティと議会―」と題し、議会報告会の様子や課題懇談会との仕組みといった議員とコミュニティとの繋がりについての実践報告がありました。西脇市では、自治会だけでなく各種団体とも議会報告会を開くといった開催方法の変更や、議会報告会が単なる行政事業説明会にならないよう、議員が何を行ったのかわかるような工夫を行っており、他にも議会報告会と課題懇談会の関係性や、現在取り組んでいる消防団の今後のあり方について説明がありました。様々な問題や課題が行政窓口で終わらないよう、一般質問やその後の委員会で話し合い、課題懇談会や議員報告会の開催を仕掛ける仕組みづくりが大切であり、「議会は住民自治のプラットフォーム」、つまり議会が住民自治の根幹となって進展していくことを期待していると語りました。
パネルディスカッション:「2040年のコミュニティと地方議会」
最後に、「2040年のコミュニティと地方議会」をテーマにパネルディスカッションを行いました。会場の参加者から、より理解を深めようとする質問が各登壇者に多く寄せられ、活気のあるパネルディスカッションになりました。江藤氏から全体の総括として、「議会改革は、議会の効率化ではない。住民やコミュニティなどと密接に進めて行くことであり、やりがい、住民に寄り添う、条件を整えることが大事。」と締めくくりました。