2025.01.27 政策研究
第58回 組織性(その4):団体・法人・身体・機関
団体・法人
自治体は地方公共団体であるが、同時に法人とされている(地方自治法(以下「法」という)2条)(5)。団体であっても、法人ではない任意団体という存在は多いが、自治体はそうではない。前回(第57回)においてすでに触れたように、法人であることによって経済取引などでの権利・義務主体となることができる。少なくとも、土地・建物を所有したり、税金を収納したり(賦課徴収ではない)、債権を回収したり、財源を支出することによって購入・購買をしたり、職員に給与を支払ったり、あるいは補助をしたり、国家賠償請求を受けて損害賠償をしたり、住民訴訟で求償したりするためには、法人でなければ不便である。しかし、法人になったからといって、犯罪で処罰される立場になるわけではない。自治体の関係者が、「組織ぐるみ」で各種の可罰的な違法行為をしたとしても、法人としての自治体が被疑者・被告人・犯罪者になるわけではない。
他方、自治体という団体は、法人ではなくとも活動は可能である。特に、自治体は住民・職員などの人への支配権や施設・建物・土地などの物への支配権──公権力──を行使する。支配権は、契約や所有などの民事的な権利関係に基づいて行うこともできるが、この場合には権利主体としての法人であることが必要である。しかし、自治体は、所有などはしていなくても、支配権を行使する。例えば、土地に対して自治体は所有権者として所有権を行使することもできるが、所有権がなくても、都市計画制限・建築規制のような土地利用規制を課すこともできる。あるいは、道路・河川などに関して管理権限を行使することもできる。このときには、道路管理者・河川管理者などと呼ばれる。